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  ~懲りない傾向~

鞄いっぱいの望みと夢と宝物

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アニメーション監督、出崎統さんの訃報を読みました。「鉄腕アトム」「ビッグX」「悟空の大冒険」のころはもちろん子供だったから(っていつの話だそれは?)、アニメーターの仕事のことなんか気にもとめずに見ていたけれど、「あしたのジョー」は見ていて怖いと思うほどの迫力があり、「2」のころには、なんだこりゃすげーっとうなっていました。

この人と杉野昭夫さんのコンビネーションは、止め絵や陰影の協調、よそでやったらうっとおしくなったかもしれない透過光の巧みな技法と、なんといってもコンテの上手さに引き込まれました。

僕自身が見たのは「雪の女王」が最後になってしまっていますが、その間のほとんどのアニメーションを見てきたなかで、「ガンバの冒険」と「宝島」は、何度でも繰り返して見たい作品です。こと「宝島」は、古今東西の和訳ものや映像のどんなやつよりも面白かった。だけどあの全26話を最初から最後まで、じっと我慢で見続けていた人もまた、限られていたような気もする、癖のある作り方でした。それこそ当時のレコードジャケット絵などに現れていた、作品のイメージと実際の展開は、機動戦士ガンダムのそれよりもギャップが大きかったのではないでしょうか。なんせ、「宝島」は一応、世界名作ものの子供文学と思われていたお話だし、それは間違いではない。まさか主人公のジム・ホーキンズを狂言回しに持って行って、実は原作では『ハムのような醜い男』という扱いの海賊ジョン・シルバーを軸にしてしまうなど、見続けていなかったら「どひーっ」というとんでもない展開と、そこからちゃんと大団円になだれ込む演出を堪能できなかったでしょう。

という、あくまで「大好きなアニメーション」の話をどこかで書きたいと思っていたのに、それ用に作っておいた挿絵をこんな形で使うことになるとは。

赤い船を見送り浜辺を歩くジムはこのあと、家路へと去っていくのですが、そのあとの水平線の向こうには、ほんの一瞬UFOが出現するエンディング。出崎さんが遠くに行ってしまうには、まだ若いよなあと思うけれど、最終回を止めることは誰にも叶わない。ご冥福をお祈りします。

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