年賀状のために撮影したデータをメディアに入れて、市内のショッピングセンターにある写真店に出かけたら、店舗があったブースには所狭しとガチャ販売機が立ち並んでいて、フロアを探し回ったら「記念撮影承ります」のパネルだけが別の場所に置いてありました。そこに本店の案内カードもあったので、今まで付き合っていた店舗はサテライトであったことを知るという、狐につままれる以上に間抜けな客となりました。
近所の写真店はずいぶん前に店じまいしてしまったから、同じ市内と言ってもエリア違いの店舗まで30分かけて出かけていたのですが、こちらの写真展の本店というのは訪ねたことが無かった。背の高い上品な店主と初めてお目にかかると、店主は僕のことを発注を通してよくご存じで、
「続けざまの喪中で大変でしたね」
と出迎えてくれるという恐縮な展開です。お話を聞いたらば、
「はがき印刷だけでなくて、写真プリントそのものの需要が無くなってしまい、学校などの行事撮影やアルバム作成が生命線です。カメラ自体、買われる人はいなくなりました」
時代が変わることを停める術はないですね。半世紀前ははがきに写真を載せるなんてことは自分ではできもせず、1枚ずつ手書きだったし。家庭内ハイテクだったような気がするプリントごっこも短命でした。
今やパソコンがあればデザインもあて名書きも思いのままで、すでにはがきの時代も終幕に近づきスマホのLINEで事足りるようになっています。高齢の店主もいずれは引退していくでしょうから、街の写真屋さんはブレイクスルーが無ければ淘汰されてしまう。
そのような思いで年賀状を毎回頼んでいるのかといえば、実際にはそうなんですが、これだけシステムが変化しているなか、我が家にはスマホやパソコンとつなげるプリンターがないのだよ(笑)というのが実態です。時代の変化を停めることができなくても、取り残されるのは容易なのです。