Trend-Blue

  ~懲りない傾向~

秋きぬと目にはさやかに見えねども

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藤原敏行は続けて「風の音にぞ驚かれぬる」と詠んでいますが、スイカかじってかき氷すすってトウモロコシ茹でて(腹こわすぞ)、畳の部屋でなく縁側の板張りに日陰を作って寝そべって・・・最近ではそれもやってられない暑さ続き。昨日から立秋という暦の新暦旧暦のズレとは関係なしに、8月は昔からどうやって涼むかの探求の時期となっています。

世間に対しては申し訳ないことに、今日を乗り切れば来週いっぱい仕事が休業になります。その分、今日までがぶん投げたくても逃げられない追い込みなのですが。それよりも乗りきらなくてはならない猛暑はまだまだ居座るようですから、皆様電池切れなどされないよう元気にお過ごしください。

 

密会(違います)

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いや、本当に偶然。

週一の日帰り温泉に行く途中、
暑いから麺かね?と〝ゆで太郎〟で夕飯。
食べ終わって外に出たら隣にエスクード。
うーん、あんまり遭遇しないシチュエーションだわ。
県北のナンバーだったので帰宅の途中かしらねぇ。

 

どうせ残暑だけど本日立秋

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それなのになんでこんな暑苦しい詰襟なんて、と思ってくれる人がいらしたら、よくぞ気に留めてくれました。

「究極超人あーる」の連載が始まったのが、1985年8月7日(水曜日)発売の少年サンデー誌上の出来事だったのです。七つの威力ぷらす大幅な能力には武器らしいものもありますが、ほとんど戦わない、アシモフ三原則がちゃんと書き込まれているらしいロボットアンドロイドの登場です。

ただし物語はその前年から始まっているようで、一級下の後輩が光画部に入部してくるのが1985年でした。そのため、R・田中一郎君が転入する夏休み前の春風高校は1984年ということになるはずです。約2年ほどの連載で完結したと思いきや、何度も読み切りやら前後編やらで2021年まで、この連中は活躍しており、今年ついに40年目を迎えてしまいます。それでまだ20世紀やっているんだからうらやましくてしょーがないぜ。

 

ガクブル

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なになになに???

派手派手しい稲光と大音量の雷鳴。
バケツひっくり返したような通り雨が
30分くらいありまして。
タイミング悪く、アイスパック交換しに家に行って
あおちゃん停めたところでザバーっ!
小ぶりになるまで10分ほど待ちました。
二重サッシにしたとはいっても頭上で轟く雷鳴は
結構な迫力だったらしくて猫ずは雲隠れ・・・

 

オルカの呼び声

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シャチが好きです。地球上にあって、あれほど機能美に優れた色と姿、そして高い知能を宿した生き物は、他に無いのではないか?  あれこそ、地球の海が育んだ芸術であろうと思いを馳せながら、未だ、水族館に生きるそれしか目にしたことはありません。いつも思い浮かべる光景は、月光にきらめくダークブルーの海原と、月の輝きによって彩られるもう一つのダークブルーの夜空との間を、黒々とした鋭角的な背鰭が、シルエットとなってゆったりと進んでいく姿です。
その、空と海が出逢う空間の、闇とは異なる色あいのダークブルーが、現在所有しているV6-2000ccのエスクードです。サイドパネルには、波しぶきのつもりで、見栄っ張りのグラフィックを描き、1号車のヘリー・ハンセンとのつながりを持とうと考えました。

などと、若いころはシャチに憧れていたわけです。こと霰が生まれるまでは某アライグマなんとかなんていう動物など眼中にもありませんでした。本当はオルカではなく昔呼ばれていた「グランパス」の方が気に入っていたのですが、オルカは学名の一部でもありここは迎合するしかない。だから大洗町に「ていしょく屋オルカ」なんて店ができれば飛びついたように、鴨川市の「オルカ丼」にも食いついたのですが、一回目は失敗でした。

あれから四カ月、再び外房へ赴く機会に恵まれ、今度こそと立ち寄りましたよ。しかしその道中、サザエの殻を模した最中と、クジラをモチーフにした茶まんの和菓子屋が臨時休業といういやーな予感も。気を取り直して一路「いしかわ」へ向かうと、今回は暖簾がかかっていました。席に付くなり「オルカ丼と、刺身の盛り合わせ! あっ、だけどオルカ丼のご飯は半分にして」と注文。なぜ天丼がオルカ丼なの?と尋ねたところ、

「オルカ鴨川FCという女子サッカークラブがあるんですよ。そのチームを応援してまして」という、なるほどそういう持って来方だったのかと得心。でもなんとなく、大きな海老天のそそり立つ様子はシャチの尾ひれをモチーフにしているのかもしれません。天丼のつゆは好きな分量をかける仕組みで、好みの味付けで美味しくいただきましたが、今回軍配が上がったのは素材の新鮮さで攻めてきた刺身盛り合わせでした。これ一人では食いきれねー(否、完食しましたよ)

耐えられなかったらしい。

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でんが迷惑そう・・・

なんちゃって冷風機のアイスパックを交換しに帰ったら、
玄関が開く音を聞きつけて階段駆け下りてきたゆき。
すでにそこにはでんが涼んでいたのだけど
お構いなしに横づけ(笑)
だから押し入れに籠るのは止めなさいってば・・・

 

巣立ったかな

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先日の深夜、つくばーど基地前面道路でひょこひょこと動いている丸い物体を見かけ、こっちはクルマだし踏んだらいかんとしばらく坂道に停車して様子を見ました。アオバズクの幼鳥です。といっても巣から出てくるころには親鳥並みの大きさになってるんですが、出てきたばかりでろくに飛べない。巣があると思われるクスの木の上から自由落下の最中に羽ばたきを覚えているけれど、揚力を得られず着地してしまった感じでした。

これでまともに飛べるようになって餌も自力で捕まえられるようになれば、南へ渡っていくのですが、来年またうちに来て巣づくりしてくれるといいなあと。

それ以来巣立った子供は見かけませんが、親鳥らしき個体の方(左側のぶれてるやつ)は、近づいてくるヒヨドリか何か(右端でブレてるやつ)を追い払うなどしているので、まだ渡りには早いようです。

お薬上手に飲めるかな。

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このあと口をこじ開けられます。

抗生剤だと思うんだけど、錠剤を処方されました。
一日一回、一錠。
子猫の頃にゆきはな同時にお腹壊して以来のお薬。
はて、あの時は錠剤だったかな(覚えてない)

とりあえず、嫌な事は違う事で記憶の上書き。
薬飲ませてから〝ちゅーる〟を差し出すと
鼻に皺寄せて怒ってたくせにケロリと食べ始めます。
ニオイを嗅ぎつけてはなまで寄ってきますが・・・
まあ、それも明日までだわ。

 

東へ東へ日出る処へ

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ここ何年も、抜けるような青空の下に咲くひまわりの写真が撮れずに悔しい思いをしていました。観光地化されたひまわり畑に行くのは、習志野の事例のように迷惑客に思われるのもいやだし。とかなんとかぼやいていたら、割と近場にひまわり畑があると教えられ出かけてみたら、地域の人々によって休耕畑を利用したプロジェクトがもう五年ほど前からあったらしく、観光地ほどの規模でないにしろ1万本ほどの群生が待ち受けていました。場所は伏せときます。

抜けるほど青空ではないなと贅沢なこと言いながら気づいたんですが、ひまわりの和名の一つに「天竺葵」というのがあって、「なんで? この花の原産は北米じゃなかったか?」と首をかしげるわけです。帰り道に図書館で涼みながら勉強したらば、紀元前のアメリカ先住民はすでにその頃から食用として栽培しており、16世紀になってスペイン人が種を獲得してマドリードで栽培するようになったと。17世紀になるとフランスからロシアに広まって、種が食材の価値を得ていったのだそうです。

さらにヨーロッパから中国へ伝わった後、ようやく日本に伝来し、天蓋花とか、迎陽花とか日廻り、向日葵と呼ばれながら、18世紀あたりから「ひまわり」で一般化しているようです。この花、東を向いて太陽の方向を追いかける性質を持っていますが、日本への伝来も東へ東へと道を辿ったと言えなくもない。それで和名の中に天竺葵も紛れていたのかと腑に落ちながら、北米から地球をほぼ一周してきたのねーと感心しております。でもアングルが決まってしまうので順光で撮るの大変(笑)

あの日のボルドールから40年 完結編

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「さて本年の8耐、第46回鈴鹿8時間耐久ロードレース決勝も4時間を経過、外気温も人肌まで上がったままライダーにもマシンにも過酷な午後を迎えています。決勝通過チームのうち、ここまでで18チームがリタイアという波乱とアクシデント続きの鈴鹿サーキットですが、現段階で、最下位ながら走り続けているユニークなマシンにスポットを当ててみます。東京から参戦している『チームうめ・もも・さくら』、ホンダCBR1000RRのSC77Eを搭載した独自の改造型『バトルホーク2025』です」

「この『チームうめ・もも・さくら』、プライベーターですが実は、監督を務めるお父さんがかつて世界耐久選手権を転戦した沢渡鷹氏、お母さんはここ実況席に15時30分から1時間、解説者としてお招きしていますがやはり国際的レーシングドライバーで名をはせたパトリシア・ウェラー・沢渡さん。久々の鈴鹿耐久はいかがですか」

「どぉもー、沢渡でーす。昨日ね、前夜祭で久野光博さんにお会いしましたよ。3年ぶりで5回目の出場だそうですけどお若いですよねー。うちの亭主なんか還暦過ぎましたけど、久野さんのお年の頃にはもう引退しちゃってたのよ。今回監督に担ぎ出されましたけどピットじゃ置物同然です。あ、何も言わない置物の方がまだマシか

「久野選手は今大会で初めてご自身のチームを結成しました。春に行われたトライアウトでは38台中11位です。マシンはYZF-R1、チーム監督がずっと一緒にレース活動している船本真弓さんという女性なんです」

「彼女がレースクイーンやってらしたころ、おしゃべりさせてもらったことがあります。かっこいいうえに声が素敵でねー。娘たちにも挨拶させときました」

「その娘さんたちが走らせるバトルホークですが、フルカウルではなくなり細かいところはだいぶ変わったものの、1980年代後半の世界耐久選手権で活躍した車体を現代の技術で蘇らせた、おじさんおばさんにはとても懐かしいオートバイです。長女なつか、次女かぐや、末っ子さくらの沢渡三姉妹がパイロットしており、昼過ぎに第三ライダーさくら選手がNIPPOコーナーで転倒。修理再スタートに大幅なタイムロスを喫してしまいました」

「まー恥ずかしいったらありゃしませんわ。娘たちじゃくなてマシンの方がね。スズキさんと同じエクスペリメンタルクラスで出してもらってはいますけど予選はブービー通過だったし、なんとか認めてもらった実験的車両といっても、コンセプトが40年も前のマシンですよ」

「いやそれは、つまり、バトルホークの設計思想が80年代すでにそれだけ革新的で先進的なマシンだったということでは・・・っとここでカワサキ・ウェビック・トリックスターがライダー交代。マイク・ディ・メグリオ選手からロマン・ラモス選手にZX-10Rが引き渡されます! ん? イタリアの名門アプリリアRSV4 1100を駆るRevo/M2 Racingはタイヤ交換のようです。台風9号通過のあとで外気温が36℃、路面温度も60℃越えとタイヤにも大きく負荷がかかります。ライダーは変更なし、ケビン・カリア選手!」

「なんだか髭みたいなウイングつけてるのねアプリリア。そういう空力の考え方が二輪にも浸透してきたけれど、今度のバトルホークなんか結局、エアブレーキはかえってコーナリングバランスに良くないって廃止しちゃいました。新しいのはリサイクル燃料仕様のエンジンと前後駆動用のビスカスとカウルに使ってる再生新素材と再生材ながらグリップと耐摩耗性を向上させたタイヤでしょ。あとはまだ開発途上らしい全個体電池くらいのもので、方便でかばってもらえるなら『マシン自体がリサイクル』。40年近く倉庫で埃かぶってたんだから」

「しか主催者推薦による出場権が付与された、話題性ありのマシンじゃないですか」

「あー、あれは沢渡が推薦を辞退するという男気見せまして、枠外です。どう見たって親の七光りというか、東条さんの後押しにとらえられちゃうから、それは娘らが嫌がったんですよ。まあそういうところは親の使い方間違えてませんね。あらっ、ドゥカに乗ってるあの背中って、ミスター・ハスラムの息子さんじゃない?」

「えーと・・・そうです。レオン・ハスラム選手、あのロケット・ロンことロン・ハスラム氏を父親に持つ二世ライダー。あぁ、世代が異なるけれど沢渡三姉妹と同じですね。SDG-DUCATI Team KAGAYAMAからの参戦で第三ライダー、市販車では公道を走れるレーサーをアピールしたパニガーレV4Rのサーキットエディションをぐいぐいとダッシュさせます」

「彼のお父さんとうちの旦那もずいぶん戦いましたけど、度胸じゃ負けてないのにあの胸板にはとても敵いませんでした。加賀山監督のドゥカティチームって、春にクラッシュしてマシンも燃えてしまって、今年はレース活動無理って言われてましたけど、奇跡の復活にこぎつけたんですね」

「クラウドファンディングを駆使してマシン再生を広く呼び掛けたそうです。いま戦っているマシンは、ある意味、『鉄人加賀山就臣』の意地に多くのファンが賛同した入魂の1台なんですよ」

「何処のチームにもドラマってありますよねー」

「ドラマと言えばですね、EDWIN・GESUNDHEIT・Racingの可部谷雄矢選手、彼は郵便局員でカブに乗って配達するのが本職のライダーです。今日はCBR1000RR-Rに乗り換えですね」

「へー!」

「もうひとつ、今は第一ライダーの増田雄基選手がコースに出ていますがチーム名でお分かりのように、ジーンズのエドウィンがスポンサードしているんです」

「おぉ、それで『503』なんてゼッケンもらってるんだ! エドウィンはバイク用のパンツも販売してますものね。郵便屋さんライダーというのも、日常が凄腕を鍛えるフィールドになってるんでしょうねえ」

「なつかさんとかぐやさんは、ビューティーサワタリの二代目とバイクショップ店員ですが、よしのちゃんはまだ高校生3年生でしたね。お姉さんたちには二枚看板のレースキャリアがありますが、よしのちゃんには経験値で大きなハンディキャップがあって、それがプレッシャーになっているようですね」

「三人ともそれぞれ3歳のときにバイクに乗り始めました。基本は沢渡仕込みでしたけど、沢渡も現役で走ってましたから、大半の教育は風羽正さんが面倒を見てくれて、またこれが世間様には申し訳ありませんなほど恵まれまして、途中からは実業家になって引退が早かったエリック・タイラー氏もトレーナーで来日してくれるようになってました」

「そんな英才教育、普通じゃ考えられない」

「あの子が中学生のときにあれを見つけて耐久レースやりたいって言い出したんですよ。もーそれからが大変で、規定年齢に合わせてライセンス昇格だとかマシンの修復だとかレース出走条件クリアさせるとか。スプリント主体だったなつかも少しブランクありましたが、美容院の方は初代がお元気ですから、逆にはっぱかけられカムバックしたんですよ。かぐやは・・・なつかもそうでしたが花園明美さんが経営引き継いだバリバリさんのところでレースに出してもらっていて、ランキングなんかはまだまだでも耐久の走り方を身につけてきました」

「現在コース上はかぐやさん。彼女が第一ライダーのバトルホークは、デビューのとき沢渡監督と、今は東亜自動車の会長となられた東条鷹さんがシルバーストーンで、デビット・アルダナ氏を加えた最終戦ボルドール24時間耐久でそれぞれ優勝を飾ったマシンでした。ここ鈴鹿ではリタイアに終わりましたが、あれから今年、ちょうど40年めにあたりますね。それを娘さんたちが復活させてサーキットに戻ってきた。父親の沢渡さんや盟友でもある東条さんにとっても嬉しい出来事でしょう」

「はじめの頃は『怪我でもしたらどーすんだっ』とか言って、パパは猛反対してました。東条さんもいろいろあった人ですから、しばらく困った顔してましたよ。でも東条さんは東亜の役員就任を機にレーサー引退して、うちの旦那もそのあとすぐに現役退きましたから、東条さんは我が家のことを大分気にかけてくれていたんです。還暦で会長になって時間にゆとりができたんでしょ、ああやってサーキットに来ていると楽しそうで安心しますわ。事実上『真の監督』ですしね」

「ちょっと・・・お待ちください。ピット取材班から沢渡監督のコメント来てます。『余計なことばかりしゃべってるんじゃない』だそうです」

「ふん、なにさあんただって若いころは骨折ってるのにかまぼこ板括りつけてレースやってたじゃないのさっ。それよりあのあとよしのの具合はどうなのよっ」

「えー、聞いてみましょう。どうなのリポーター?・・・打撲程度でまだ走れるとのことです。よしのちゃんの元気な笑顔がキュートですって。そういえばホンダ/HRCのイケル・レクオーナ選手も先日のワールドSBK第8戦、ハンガリーのレース1オープニングラップの際、第2コーナーで起きた7台クラッシュに巻き込まれて転倒しちゃいました。そのときの左手首骨折で今日の鈴鹿は走れず、チャビ・ビエルゲ選手が代理を任されていましたが手続き上のトラブルで不参加。HRCは高橋巧選手と、昨年の覇者ヨハン・ザルコ選手の2名体制で臨んでいます。それでも予選では2分4秒290というタイムでトップのペア。いまちょうどスプーンのあたりを回っているのが高橋選手、個人戦績としては鈴鹿8時間耐久6度の優勝経験者です! レクオーナ選手のことを引き合いに出すと、よしのちゃんの場合は『うめ・もも・さくら』がレーシングウェアに専用で使っている新素材の衝撃吸収材がかなり効果を出しているようですね」

「レクオーナくんはなつかと同い年で、スーパーバイク世界選手権のさなかでしたが、6月に鈴鹿の第三ライダーに起用されたばかりで残念なことしましたね。よしのは運が良かったんです。転んで遅れはとりましたがあの子たちは必ず、びりでも完走させます。まあびりなんか厭だって、いくらか順位は上げると思います。なにせアタシとパパの娘たちですもん」

「おっ、そのバトルホーク2025。ピットインです。全輪駆動はどうしても燃料消費量が問題ですが、かぐや選手はこのスティントで36周もの周回をこなしていますから、ピットイン回数のことも考えている。これを受けてなつか選手にスイッチされました。うめ・もも・さくらカラーとメインスポンサー紅空エアラインのCIカラーでもあるピンクと紅色のマシンがコースに躍り出ます。その鼻先をCBR1000RR-R、ホンダアジアドリームレーシング ・アスティモのアンディ・ファリド・イズディハール選手がかすめていく! 同じエンジンながらバトルホークの排気系の特徴か、追いかけるスロットルがホンダアジアよりも迫力の重低音だ!」

「あの排気音はかぐやの趣味です。中低速でトルク無くしたくないとか言ってて。さっき、エドウィンの『503』のときに話し忘れましたけど、うちの監督、ゼッケンに末広がりダブルで『88』を使いたかったんですよ。そしたらもう、そのゼッケンはホンダアジアさんが先に受けていて、やけになって満願成就にリーチの『999』なんてアホみたいな申請していました」

「いまグランドスタンドで声援が上がったのは、磐田レーシングファミリー3年目の服部亮我選手です。ファンの声をかき消すような、これもず太いエギゾーストノートを残してYZF-R1がメインストレートから第一コーナーへ駆け抜ける。その彼方、逆光を浴びるS字から逆バンクにかけて、4月のル・マン24時間で12位完走したチーム・エトワールのBMW M1000RR。今年からチームに加わった全日本選手権 ST1000ランキング9位の伊藤元治選手に、同型マシンのBMW MOTORRADワールド耐久チームが迫っている。こちらも同チームでは初参戦スティーブン・オデンダール選手、南アフリカ共和国出身の彼は2021年FIMスーパースポーツ世界選手権で総合準優勝のつわもの! 先のル・マンでは総合4位でフィニィッシュしましたが、両マシンともシュモクザメを思わせるフロントノーズのウイングレットが獰猛かつ機敏なバンクをサポートし、強力なダウンフォースで空間を切り裂いていく! 日本対ベルギーのサイドバイサイドをドイツの名車が繰り広げています・・・えっとなんでしたっけ?」

「BMWもアプリリアもHRCも、スズキCNチャレンジのGSX-R1000Rもそうだけど、あのウイングレットいろいろあってかわいいわよね。という話を棚に上げてもらって、うちのチームのゼッケンの話」

「そうでした。指定番号無視してよく通りましたね・・・あれ? でも『999』じゃありませんよね」

「一回目は通りませんでした。許してもらったあれは紅空さんにスポンサー契約をかけあってくれた関係者から是非ともって言われたと、東条さんが食い下がったんです。ゼッケンの由来まではアタシは知らないなあ。東条さん一番苦労していた場面ですけど、あれは間違いなく東条さんの顔、ですわ」

「そういえば昔はJALがメインスポンサーでしたから、翼に縁のあるマシンでもあります。ここで注目のバトルホークが戻ってきていまグランドスタンド前を通過・・・えっ、私の時計で2分07秒583! これは速い。鈴鹿8耐における決勝コースレコードまで僅差に迫る勢いです! これ、今度のラップで前にいるイズディハールのCBRを抜きますよ」

「うーん・・・周回遅れは変わらないけど、現役時代のパパも出せてないタイムだわ。そうそう、沢渡がボルドールで優勝した年に、今スズキCNでエースライダーやってる津田拓也くんが生まれてるんですよ。もうすっかりベテランですけど、さっきモニター見てたらシケインのフルブレーキでがばっと脚を出すようなフォームに変えましたね。あれ今まで見たことないわ」

「津田選手、思い切ったライディングスタイルの変更で、SUGOのJSB1000で表彰台もぎ取りました。そうですかバトルホークとも同じ世代か。バトルホークは当時とエンジンも排気量も違いますが、なつか選手のレースマネジメントでしょうか。かぐや選手の粘りも相まって、本格的に追い上げが始まります。これでよしのちゃんの負担は軽くなっていきますね」

「妹思いなねーちゃんたちだわよねー」

「『速けりゃいいってもんじゃねー、またこけたら吉村のおやじに笑われっぞ』と・・・監督が叫んでいるそうです。ああ、今年は吉村英雄さんが逝去されて30年という節目でもあったのか」

「まだ4時間台よ何言ってんの! ペース落とさせたらそれこそポップの笑いものよ、やってごらん、あんたを折檻するわよ監督っ」

「あ、あのー沢渡夫人、このラジオ放送、場内だけでなく鈴鹿市全域に流れてますから・・・あっ、さらにペースを上げているかバトルホーク、デグナー2までに減速気味のイズディハールに追いついています!

「リアスライドをフロント駆動の微妙なコントロールでやらせてるんだわ。あれができないとバトルホークは必要以下にしか曲がらない。ホンダさんには悪いけど、例のアシモバランサーに頼りすぎたのがよしのの転倒原因です」

「なつかさんのテクニックが底辺にあるとしても、操作が難しいのは前後の駆動配分を任意に変えられるビスカスの功罪でしょうか?」

「それもあるけど、ここではちょっと言えないバーチカルステアリング操作の中に前輪トラクションの制御がね」

「はあ・・・それこそがバトルホークの秘密の・・・ああっ、バトルホーク、デグナーからの立ち上がりで並んでいた! そのまま立体交差をくぐって前に出ているように見えます。しかしすぐにヘアピンだぞどうなるホンダVSホンダ! 監督のハラハラ顔が目に浮かんでしまうほど怖いもの知らずだ沢渡なつか! イズディハールを強引にアウトから攻める! パワースライド? ドリフトとも異なる! リアドライブがトラクションをかけ続け、テールが外側へ流れるもののフロントドライブは二輪駆動ゆえにカウンターを当てることなく引っ張り上げる! 抜きどころとはいえこんなんでリアタイヤは持つのか? 白煙がわずかに立ち上るがもうそこにバトルホークはいない! 200Rはもはやストレートと変わらないと思っているのか爆発的なスロットルワーク! 予選は通過すればいい程度の考えで三味線ひいてたとしか思えない、まるで別人のような沢渡。だがイズディハールも負けてはいない、果敢にテールに食らいつく」

「これ、相手をカッカさせようってわざと無駄なことやらかしてますね。誰が教えたんだかあのえぐい挑発志向」

「確かに後ろから煽るどころかヘアピン出口の派手なオーバーテイク、大外で間隔を開けているので危険行為には当たらないでしょう。そのくせ一気に引き離すわけでもない。しかもやっているのは二十代半ばの女の子。なるほど続けられて乗せられたらイライラさせられてどこかでミスを誘発しますか。ポジションを少しでも前に押し出し再び妹よしのにマシンを託そうと熱い走りを見せつけます! つい思ってしまう『親の顔が見たい無軌道アタック』の行方は、スプーンカーブから130Rへ持ち込まれていきますっ!

 

※念のために書き留めておきます。このお話は無断二次創作のフィクションであり、登場する人物、団体、車体名諸々、実在するものがあってもまったく関係ありません。また、そんなこと百もご承知とは思いますが、本日の8時間耐久決勝で「鈴ラジ78.3」を聴いても、バトルホークはもちろんパットなんか出てませんからね!

 

それでもって、こちらがリアルな女子高校生ライダーの世界。よしのより一つ学年が下ですが、レースキャリアだとかライセンスの取得昇格だとか、世の中↑の面白おかしく書きなぐったような甘いものじゃありません。