既に先月のことですが、TDA第三戦は後藤対川添の一騎打ちを決勝で繰り広げ、修理明けのTA52Wを駆る川添哲朗選手が約2秒の差をもぎ取り優勝しました。あの二人の戦いでそのタイム差は腑に落ちないので後藤誠司選手の走りを聞いてみたところ、妙に大ぶりなコーナリングか、スピンぎみの挙動が目立ったと。後藤選手の体調が振るわなかったわけではないらしい。にもかかわらず振り回すというより振り回されているのが見て取れたそうです。
これは、明らかにTA51Wの側のトラブル。決勝までコマを進めていくうちに故障が発生しコントロール不能に陥っていったとしか考えられません。エンジンにおけるそれであれば早い時点で走行不能となったはず。そのエンジンは回っていたそうですから吸排気系、電装系、燃料系統の故障ではないようですが、明らかにパワーダウンしたのをカバーしようとギアダウンしアクセルオンして振られていた感があります。
駆動系に寿命が来ていたようです。これまでの全戦歴を考えると、デフの破損でしょう。それでもなおトリッキーなコースレイアウトを周回できたということは、破損したのはリア側のデフ。51Wは第三戦のどこかでFFになってしまったのではないかと推測します。
「とうとうというか、いよいよというか。彼のエスクード全体の損耗度は限界を迎えたかもしれません。51W自体が20年前のクルマですから、年間数戦とはいえあちこちにストレスをため込んでいるんですよ」
島雄司監督は沈痛な面持ちです。聞けばJXCDにも遠征している後藤君の評判は西日本に広まりつつあり、年内にダートラ日本一決定戦のような企画レースが行われるのでと招待されていたのだとか。
「エスクードの状態が状態のため、それは丁重に辞退したんですが、クルマをどうするかという問題と、後藤君の今後に対してどう助言するのかという課題を抱えました」
いつかは訪れると思っていましたが、遂にそのような話題が浮上してきたのか。奇しくも監督が現役を退き、後藤・川添コンビがパジェロミニで耐久レースに登場してからもうじき10年になります。