NASAが「このアポロ13の打ち上げシーンは、どこから持ってきた映像だ?」と問い合わせしたという逸話を聞いたのは、もうずいぶん昔のこと。CGを駆使すればトレーラートラックもカマロも戦闘機もガシャガシャ人型に変形しちゃうし、ウルトラマンだってピアノ線なしで自在に空を飛んでしまう。そういうのを拒絶する気は毛頭無いのですが、サンダーバードまで遡らないにしても、謎の円盤UFOあたりの特殊撮影は、プロップとカメラの間に遠近感と質量感を作り出す、独特の撮り方をしていたなあと思います。
日本の特撮でその撮り方が育たなかったかというと決してそんなことはないのですが、CGには押されている。すごい映像はできるけれど「実写のアニメ」みたいで、画の違和感が無くなれば無くなるほど、遠いところへ行ってしまったような気分になります。ましてや3D映像はもっとすごいはずでも、そういうのを望んではいないのになあと・・・空に向かって片手で持ち上げた50cmくらいのミニチュアを、これまた片手で撮ってみる。逆光にして、それが全長17mの車両に見えるような写し方は、なかなかできないです。たまに親指が見切れていたり、庭木が写り込んだりしちゃうし。けれどもそんな空気感のある画で、特撮は見続けたいのよ。