1994年前半のイギリス版スズキラインナップカタログに掲載されたVITARAの車種構成をみると、まだ1600ccのみの展開だったG16Aエンジンは、ロングボディの5doorのみに16バルブ仕様が与えられ、ショートボディのエステート(ハードトップ)とソフトトップ(コンバーチブル)はすべて8バルブ仕様という割りきり方でした。
この当時だけで比較すると、日本国内仕様は3型あたりと思われますが、16バルブ化されたショートモデルに乗ることができたわけで、ユーザー側にとっても恵まれていたと言えます。
この頃のVITARAはいわゆる1型仕様ですから、オートマチックトランスミッションを比べて3速時代のものです(16バルブ仕様は4速)
ところがミッションに関してはマニュアルを選んでしまえばあまり差は無く(最大馬力は低いけれど低速トルクは太めだった)、8バルブ仕様でも不便は感じなかったかもしれません。エステート(ハードトップ)はAT仕様のあるJLX‐SEと5速MTのみのJLXという差別化が図られており、インジェクションかキャブレターかの違いや、排気系に触媒が装備されていたかいなかったか、パワーウインドーとセンター集中ドアロックがついていたかいなかったかの違いがありました。
面白いのはソフトトップ(コンバーチブル)の車種構成。上記の装備の違いを持つ2車種以外に、廉価版に相当するような「Sport」、リミテッドエディションの「Rossini」がラインナップされていました。「Sport」はパワーウインドーや電動ドアミラーなどの快適装備はおろか、レブカウンターまで排除されている徹底ぶり。その代り、おそらくエスクード史上最軽量の960キログラムという乾燥重量を実現していました。「Rossini」はこれをベースに専用シート、ロゴデカールなどの装備を組んでいますが、20キログラムほど重くなっています(ただしいずれの車種もグロスウエイトは1450キログラム)
仕様の上で4車種というコンバーチブルのラインナップは、この当時のイギリス版スズキ4輪車内でも最多です。ノマド系まで含む全エスクードでは8車種(AT、MTの区別を除く)にもなり、市場に対してかなりの力を入れていたようです。それにしても、一見、北海道よりも高緯度のイギリスでコンバーチブル多種構成? と思ってしまいますが、西岸海洋性気候だから夏は暑くなく冬はそれほど寒くない(程度問題?)ことや、日本と比べて日射量の少なさなどから、オープンモデルがもてはやされたということなのかもしれません。
あのGM製3ATは、林道を走るのにはバランスがよかったと思います。
セレクターのDはもちろん、2・1まで全てを使って走れたし。
4ATは、1速がローギアすぎてエンブレに使えないし、逆に2速はハイギアすぎて…
あの3ATにオーバードライブが付いたら、面白かっただろうにと思ってしまいます。
僕は1型時代は5MTだったため、3ATは和邇さん所有のビターラ・コンバーチブルに載せてもらった経験しかないんですが、実際低速仕様でオンロードだと(あまりの大径たいやで力が食われていたこともあるけれど)ギアひとつ2つ足りないよと感じました。
あれをグラベルの下りで乗っていたら楽だったろうというのは想像できますね。
うちの幌車の2速はハイギアード化のスタートラインなので、中期後期ものよりは体感的には減速してくれる方かなあ。