といっても当ブログのもう一人のライターの彼女のことではありません。今を去ること14年ほど前、相米 慎二さんが監督したロードムービーのタイトルです。「風花」という映画そのものは、観たらみたで眉間にしわを寄せてうーんとうめいてしまいかねない物語なので(鳴海章さんの原作も読んでいないので批評もできないし)割愛しますが、ロードムービーと言ったらバイクなり車なりが物語を支えるツールとして欠かせない中で、TD01Wをこれに充てているところが、このブログで取り上げることのできる唯一の素材なのです。しかもこのカラーリングときたもんです。
このノマドはサンルーフ装備の、グレードとしては高いモデルでセンターコンソールに後付けのマルチメータもついています。
なによりスズキスポーツのグリルガードを付けていて、さらに一対、補助灯まで追加しているマニアックな仕様(でもホイールは純正のスチールもの)と、こまごまとしたところの観察のし甲斐があるはずなのです。しかし当時、封切り前にこれを予告編で見たときには
「ななな、なんじゃそりゃ!」
と映画館の座席からずり落ちそうになったものです。いやー、だってさー、映画全体がなんとなくずーんと重いなかで、まるでやけくそで塗っちゃいましたと言わんばかりの桃色ツートンですよ。監督と演出家の考えがわかんねーよ、と思っていたらば、相米さんはこの映画を遺作として急逝してしまったのです。
結局、小道具は小道具らしく淡々と走るのみで、その異様な色彩以外には目立つところもなく、でも「なんでピンクとグレーで仕上げたのかなあ」と首を傾げさせる印象だけを残しました(それくらい映画の方は・・・だったので)
ところが「風花」のすぐ後に、相米さんの弟子にあたる西谷真一さんが監督第1作として作った「花」という映画に、車体色こそ全く違う淡い水色の、どこかで見たようなノマドが登場してきて、これは深夜番組の紹介コーナーで流れた予告編を偶然見ていて「げげっ」とテレビにかじりついたのでした。
「花」に関してはそのノマドのことをESCLEVにおいて書いた通り、西谷さんが相米さんに贈ったロードムービーとしてのメッセージだったようです。新宿の名画座でしか公開されなくて、とるものもとりあえず観に行ったら劇場では映画に関するアンケートと一言コメントの書ける用紙があったので、2つの映画とノマドのことについて質問を立ててみましたが、西谷さんからの連絡があるはずもなく、「風花」ではなぜエスクードだったのか、「花」でも同じエスクードをあてがったのはどんな意図だったのかについてはわからずじまいです。
縁というのは、どこかでつながっているのだなと今回思わされたのは、ある古本屋のソフトコーナーのワゴンセールの中から、このソフトを発見したことです。昨年の「あまちゃん」以来、小泉今日子さんが目の前をうろちょろする(しねーよ)わけです。民放では便乗して「マンハッタンラブストーリー」を再放送で流したし(宮城県の話)、続いて「最後から2番目の恋」も再放送した(やっぱり宮城の話)ら、それは「続編」の前振りだったし。で、「風花」の主演も彼女なのです。
小泉今日子さんといえば、冨田ゆり子(レモン)役は風俗嬢で、相手役の文部省職員澤城廉司役は浅野忠信さんでしたが、風俗店店長役で尾美としのりさんが出ているところはさかのぼって笑えます。ついでながら、ゆり子と廉司が道行きで泊まった温泉宿の親父が柄本明さんで、この人は別の役柄で「花」の主役の一人になります。
よーし、映像特典でメイキングも収録されているから、今まで知りえなかったエピソードも明らかになるかもしれないぞ! と買い求めて観てみたわけですが、なんといってもワゴンセールのシロモノ。終盤で読み込みができなくなるというおまけつきでした。ああっ・・・