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  ~懲りない傾向~

異端の本分

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ヘドラ総選挙なんてものをやらかすのは政治家とアイドルだけかと思っていたら、ゴジラ映画までもが乗ってしまう現代。ハリウッドで作らせた新作とのタイアップ企画ということですが、流星人間ゾーンへの客演や、でっかいトカゲのあれも入れれば(総選挙には入ってません)、とうに30を数えるのです。ゴジラってエンターテイメントには違いないとはいえ、本質はそれだけではなかったはずの映画だと感じていたので、この企画は意外でした。いまさら震災における原子力災害を引き合いに出すほど無粋なつもりはありませんが、あれはそういうものへの怖さを描いていたし、怪獣映画そのものが災害のメタファーを抱え込んだ作りでもあります。

よく仕掛けちゃったよなーと、内心思ったのが正直なところです。それで、今のところ順位は伏せられたまま10作品に絞られています。第1作目は当然のことながら、けっこう気に入った展開だったvsビオランテや、ちょっとだけ登場とはいえ(最初に)エスクードが出てくるvsメカゴジラがランクインしている中で、初期シリーズの中からゴジラ対ヘドラが抜け落ちてしまっていたのは残念でした。

核の脅威を人類に対して警鐘する意味合いを持つゴジラが、シリーズを追うごとにその部分を風化させてしまった凋落期に、公害の恐怖を突き付けてきたヘドラは、公開当時の世相を申し分なく抉り出していたと思います。人間の手に負えないものを人間にはどうすることのできないものと戦わせて滅するという構図はいささか身勝手な話ですが、核も公害も怖いものなのよという作り手の言い分は、あれを観た子供心にグロテスクでサイケな映像とともに焼き付けられています。

まあ核の申し子のゴジラの方はどうだったかというと、空飛んじゃったりいろいろとほほなんですが、うかつに組み付くとゴジラでさえその体躯を腐食させられてしまうというヘドラは、なかなかに冷や汗をかかされる存在でした。そしてあの頃、ニュースでも記事でも、毎日のように取りざたされていた公害というキーワードは、戦後の人間である僕にはきわめて身近な脅威に映っていたのです。

そんなわけでゴジラ対ヘドラに投票するのですが、その結果はともかく、これから作られるゴジラ映画がどこを向いて何を包み込んだエンターテイメントになっていくのかは、作り手には熟考していただきたいと願うばかりです。

 

2 Responses

人気漫画とか、テレビとかでキャラクター人気投票というのは昔からありました。そんなに意外な企画では無いですが、面白そうですね。

中間結果を見たのですが90年代のVSシリーズが多いですね。やはり年代の影響かな。ぼくもまさにその世代です。ぼくは「ゴジラVSデストロイア」を投票したいです。これも上位に入っていました。

ゴジラ対ヘドラ、ぼくは1度しか見た事が無いのですが、あれももっと評価されても良いと思います。公害、環境破壊の脅威を訴える作品でしたね。

あと個人的には84年版の「ゴジラ」も良いと思います。子供の頃は他の怪獣が出なくて面白くない感じもしましたが、東西冷戦の最中(大韓機撃墜事件の翌年)核兵器の脅威、戦争の恐ろしさを訴えるテーマで、今思うとかなり内容の濃い作品でした。

人気投票、何が1位になるか楽しみです。久々にビデオを借りてこようかな。

  • 84年版は、スーパーXがただただ残念な小道具で、カドミウム弾を撃ち込むための方便ならあれでなくても良かった(まあ空飛んじゃうこととあのデザインの関係が嫌なんですが)
    VSのシリーズもまたどんどん強さのインフレに陥る展開で、デストロイアあたりはもう惰性で観ちゃってるんですよ。その視点で言えば、逆に84年版は悪くないんです。
    そういうフラストレーションの部分を上手に消化して作っていめ怪獣映画が、平成ガメラ三部作ではなかったかなあと思います。