Small Missions for Advanced Research Technology
その一号機となったスマート・1探査機が打ち上げられたのが、2003年9月27日。欧州宇宙機関初の月探査計画で、月軌道には翌年11月15日に到達しました。この探査機は電気推進器、イオンエンジンを搭載した探査機としても初めて、他の天体の重力を用いて軌道投入を成功させた事例でした。イオン加速のために、スイングバイで地球周回を300以上繰り返し高度を上げていく仕組みで、月までの到達距離は38万キロどころか84万キロも費やしています。
この航続距離に消費されたキセノン推進剤は59キログラムという超低燃費さで、自動車ではまねできません。もっとも、小惑星イトカワから帰還したはやぶさとは異なり、スマート・1は2006年9月まで月面周回を続け探査活動を続けた後、地表に衝突させて役目を終えるという片道の旅路でした。