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  ~懲りない傾向~

魔女の聖域 和邇さんの手記002

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ark シリーズとしての宇宙戦艦ヤマト2199を振り返りますれば、旧テレビシリーズや問題作“さらば”以降の黒歴史に至るまでを総括しつつ、作劇的な矛盾点を極力排除しながら広い世代の萌えポイントを散りばめていく、といったものだったと思います。総監督殿の想い描く「俺ヤマト」がそこにありました。

私のようなメカフェチには“緻密な設定”の宇宙艦船を。うちの娘たちのようなキャラオタクには萌え要素抜群の“中の人”攻撃。只々旧作を懐かしがりたい人達にも、ぐうの音すら出せないほどの完成度。かつてのファンやマニアがそれぞれに抱いていた“妄想ヤマト”を根底から覆してくれた上に構築されたストーリーです。

今後はこれがヤマトのスタンダードになるのでしょう。

これからの妄想のスタート地点といっても過言ではないかもしれません。ガトランティスの存在や、拡散波動砲の装備されていない《アンドロメダ》。今回“古代アケーリアスの碑文”解読によって解釈の逃げ場を失った宇宙人類の起源など、妄想の種が再び蒔かれたと思いたいです。

という和邇さんからの「星巡る方舟」に関する感想が届きました。2199の第24話と25話の間にちりばめられたサイドストーリーと聞いていたので、それって完全新作と言いながらも、昔、松本零士さんがスピンオフさせた「ジュラ編」がベースだろうよと、「観てきた側と」「観に行かないぞ側」との対話をここに展開していきます。

派手な色の戦闘空母に陣取ったバーガーは、さしずめ“ハーロック”のようです。ドメル夫人がある意味メーテル的なキャラでしたから、他の松本キャラも何処かで出てくるだろうと思っていたら、此処でしたね。青い三段空母の後ろ姿が《アルカディア号》に見えてきますから。

旧シリーズで古代と友情を育む役回りはデスラーでしたが、今回それをバーガーさんに置き換えたのは、時系列的にこのあとデスラー襲撃がくるための措置であるとしても、あのほのぼのとしたラストシーンを見たあとでは《ヤマト》を執拗に狙う総統閣下のバカさ加減を助長するだけでしかないような気がします。もっとも、この件で《ヤマト》のクルー内に『ガミラスはお友だち』という意識が芽生えていたとするならば、デスラー襲撃の折りに対処が遅れたことの説明にはなります。

あー、七色星団の艦隊戦で、その程度でやられちゃうのかドメルの副官たちは。と、あきれていたのですが、バーガーだけが戦死確認できていなかったのはこういうことか。ことハイデルンとバーガーは、キャラクターデザインが総監督自身の画風に似せられていただけに、ドメルの側近として出番の多かったハイデルンはともかく、バーガーの去就が腑に落ちなかったのです。

ちゃんと役どころを押さえていたか。しかし確かに、欺瞞と内紛満ちたガミラス本国の派閥の中でも、これだけ有能な部下を従えているはずのデスラーは、いよいよ株の暴落ですねえ。このままでは、きっと居るであろうデスラーファン層が黙っていないだろうに。だけど次元回廊での襲撃に失敗したデスラーは、乗艦の爆発から逃れているのがテレビ放送版。そのうち漂流中にガトランティス帝国の艦船に拿捕されていいようにいじくりまわされて洗脳などされて帝国の尖兵に成り下がって、再びヤマトの前に立ちはだかる展開があれば、落ちるだけ落ちたどん底から這い上がるという復活のシナリオも用意できそうです。その手助けを、タラン将軍でなくバーガーがやってもいいわけで。

・・・あれ? そもそもガトランティスが存在してデスラーが行方不明で、今回のドラマの冒頭には空間騎兵隊も登場するそうで。つまり我々は、知らないうちに「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」か「宇宙戦艦ヤマト2」の世界に引き込まれているのではないか。

ガトランティス部隊は宝島ならぬ“宝の星”を大帝さまに献上するため探している最中に偶然《ヤマッテ》と出くわします。テロンのフネに、星をも砕く大砲が搭載されていることはガトランティスの末端にも知れわたっており、これを拿捕すべく攻撃を開始。ヤマト側も反撃しながら逃避を図るものの・・・というのが今回の物語の流れです。

登場が期待されていた空間騎兵隊の斉藤一氏は、アバンタイトルとエンドロール前のオマケ&中盤にくる事態への小さな伏線でしかありません。が、全くもって活躍しませんので(笑)

いやまて、和邇さんは重大なことをリークしています。古代アケーリアスの碑。これは今作のヤマトの世界では、ジレルの魔女たちにのみその謎が託されていた、失われた文明のことであると同時に、名前をもじっているけれど、アクエリアスのことであるなら、今後のヤマト公開の進路は「さらば」の選択肢ではなく「2」。それどころか行く手には「完結編」が待ち受けているということではないのか・・・

そもそもジレルの魔女、という設定自体が、その響きから、松本版スピンオフのジュラだったことに、なぜ気づけなかったのかが今さらながらに口惜しい。いずれにしてもアケーリアスとジレルというキーワードがセットで出てくる「星巡る方舟」は、もうその時点で「3」から先への羅針盤だと言ってもいいのでしょう。

“ジュラ”篇を知っているオヂサン世代なら「ほう、そう来ましたか」的な物語です。私的に娯楽作品としてはチケット代相応だったと思います。時間が許せばもう一度観に行きたい。なお、今回はエンドロール終了後の『特報!』はありませんのでご安心を。

いやいやいや、実はこの映画そのものが、今後のヤマト映画のプロモーションでしょう? わざわざ特報などと銘打たなくとも、確信犯的にやることやってますってば。なんせ「もう一度観に行きたい」と語っている和邇さんですが、初日に2回観てるそうですから。続きを切望するジレルの魔女の心理攻撃に遭ってしまった人々は、かなり沢山いそうです。

 

6 Responses

えーとね、

  • わるかったよ長くて。

  • DVDやBlu-rayの売り上げもまずまず。プラモデルも関連書籍も版を重ねているようで、
    《ヤマト》を取り巻く“大人の事情”は三式弾の発射煙の如く、キナ臭いことキナ臭いこと。
    このまま旅を終えることは許されないんでしょうかしらねェ。

    上映期間も残すところ三日。《火焔直撃砲》の大威力は、是非とも劇場スクリーンにて!

  • 足かけ十年くらいは2199シリーズで食っていきたいでしょうから。
    なんだか仙台市にもパスカードか何かで浸食してきてるらしいなあ。

  • 何だよ!違うかもしんないだろ!二色…

  • えっ、何が2色?