いつも私見ですが、この10年くらいの仮面ライダーが記号性だけの冠タイトルになっていく中で、わざわざ蒸し返した「仮面ライダー3号」って、よくよく見ていたらずいぶんと原点回帰して「ちゃんと仮面ライダーになっている」姿かたちなのです。ベースにFIRSTやNEXTのデザインワークスがあるからですけど、ここで言いたいのは番組制作側の工業デザインではなく、ショッカーという悪の組織の中のデザイナーとしての能力がいかに優れているかについて、です。バッタ型改造人間を言うに及ばず、蜘蛛男、人間蝙蝠など、初期ロットのショッカー製改造人間は、一目で何だかわかるシンプルさの上にも怖さを煽るデザインが成立しています。
3号が開発されたのはショッカーライダー量産の頃と想像できますから、初期のバッタ型改造人間をもとにしている分、当然ながらそのデザイン性は後年仮面ライダーを名乗る歴代以上に、余計な装飾を極力控えて形を完成させているのです。これは歴代の悪の組織なり科学者なりが見習うべき部分ではないかと思われます。
こういう仕事をショッカー首領がどのように評価していたかは不明ですが、デザインワークスに関しては寛容だったのでしょう。だから時々、ショッカーのデザイナーも遊んではいるようです。まあこれだけ優れた陣営の中で、世界征服の実働部隊だけが能無しでもあるということも明白なんですが・・・
で、せっかくショッカーを褒めてやってるそばからこんなのが出てくるわけですから、がっくりもいいところ。桶川あたりの昔ジャンセスナが飛んでいた飛行場に行くと、スカイサイクロンとやらが駐機してあるんでしょうか。
3号までは目をつむるけど、こうも臆面もなく4号とかやっちゃう東映のプロデュースもデザイナーも最低。そのうち石ノ森ノ萬画館前の船着場で、シージェッター海斗と握手する海モノな5号とか、どこかの森で雄叫びを上げる迷彩仕様の6号とか、放電機能を持った7号が出てくるんでしょう。
虎の巻と言えばこれです。
場面描写としてしか書かれていないものの、「仮面ライダーの強化服バリエーション」として、それぞれの戦闘仕様に特化した、どこかで聞いたようなスタイルへとバージョン替えするというアイデアが、この小説の中にあります。3号と4号の仕様は上のものとは異なりますが、これを使うとあと何作かはシリーズが続けられます。ただし、この小説の仮面ライダーは、基本的には本郷猛ただ一人ということになっていますが(最後の最後はそうでもなさそうなんだけど)