最終話を見る前に判断してしまうのは早計でしょうけれど、WOWOWドラマ「海に降る」の企画には重大な読み違いがあるのではないかと感じました。その布石は第1話からちりばめられていて、第4話で決定的に原作小説(注 有料の電子書籍)と乖離していきました。
ドラマはドラマなりにまじめに作られているのですが、これはそこまで内容を変えてサスペンス仕立てにするものじゃないだろうと思います。
原作からオミットされた主人公・天谷深雪の異母兄弟、陽生という少年の存在は、物語から欠損してはならない要素です。海底資源大国として生き残りにかける大人に対して、海洋開発・探査の未来を夢見、将来を担う子供との対比が、ドラマでは隠蔽された海底域の謎に置き換えられてしまいました。それがあるとないとでは、最終話を見終えた後味が違いすぎるのです。全6話という半クールでまとめようという企画の限界深度は、やはり1クール分の枠よりも浅いのだなあ。