リアスの海と違って、浜通りの海岸線は横一直線の景色。襲ってきた津波に対抗するように、これもまた横一直線に、延々と防波堤が築かれ、グランドラインだと水平線が見えないところが増えてきました。ここでは防風林の植樹も行われていて、いずれ防波堤も見えなくなるでしょう。
いや、それがどうこうという話ではなく。多重防御は必要なことで、むしろ防波堤だけで次の津波が完全に防げれば、その方がいいのです。
ただ、海への視線を遠ざけることは、別の意味で好ましくない。風景を眺めることは想像力につながり、様々なイマジネーションが時間を経てテクノロジーに結実することもある。5000キロワットを発電する風車が洋上に浮いているなんて、子供の頃は想像未来技術の域でした。
防波堤と景観の問題は私の中でも結論出ていません。かつて久慈市に住んで居た頃も、町中居住で、海からは離れていました。それでも1週間に1回は海を眺めたくなり、父に「スズキ・スズライト」で連れて行ってもらいました。安全を考えれば高い防波堤も必要。でも景観が損なわれるのも問題ありです。今年は「陸中海岸の今」みたいなテーマでフィルムカメラ撮影予定していますが「防波堤」は敢えて外して撮ろうと…
結論というのは十人いたら十通り出てくるものだと思います。
出ない結論の理由もまた然り。
そんな中から導き出される公約数には、双方最大限の理解をしてあげられればいいのでしょう。