Trend-Blue

  ~懲りない傾向~

ブランド維持の可能性

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エスクードというクルマのブランド性は隙間から生まれてライトクロカンという曖昧なジャンルを立ち上げ、それを自ら脱ぎ捨ててSUVやCUVといった、より汎用性の広さへと成熟したように思います。曖昧で半端なクロスカントリー能力なら、それはもういらないだろうという判断は、初代の後期型で既に片鱗を見せており、汎用性の探究についてはグランドエスクードのような事例に見ることができます。しかし背負ったものをかなぐり捨てるには至らず、捨てることができなかったからこそ、支持層もこれを前向きに受け止めてきたのだろうと考えています。思いきりよく全てを一新する。

そう言いきりながらも、3代目は全てのしがらみを捨ててしまったのかというと、これもまたそう簡単には捨て去ることができない。

アプローチの仕方が変えられたとはいえ、多くの部分で歴代の延長に、きちんと位置しているのです。何か読み違えがあるとすれば、初代を市場投入したときのようなタイミングを得られなかったことや、顧客とファンとを同軸には見据えていない、顧客優先(それは仕方がない)のニーズを受け入れすぎたこと、その顧客も“世界戦略”という大義名分によって海外市場に軸足をとっていったことでしょう。それでも、国内で売る気のない車種にしては、そのツンデレ効果なのか実力なのか、販売台数ではなく、支持層の崩壊を起こさずにいることが、面白いクルマだと思います。

3代目もモデルサイクルではターニングポイントを過ぎていますが、その渦中に登場しかけたKIZASHI2には、3代目以上の刷新が盛り込まれていました。もはやこの姿形を林道よりも深いところへ持っていこうとする意識醸成はない。むしろ北米のXL7に対する後継ものという家系図を引くべきスタディ。しかし、横置きのエンジンやFFベースのフルタイム四駆など、これまでのエスクードにしてみれば革新(あえて)的なメカニズムを模索しており、実際にデビューしたKIZASHIや、系譜は別ながらSX4のようなプラットホームが今後のスズキ小型車以上の主力商品となるなら、4代目エスクードもそこから逃れることはできないでしょう。

幸か不幸か、現在はSX4の2代目モデルを仕上げなくてはならない時期にあるはずの開発タームと思われ、4代目の動きはエンジンレイアウトの確定以降、何も変化がないというお話。今しばらくは3代目のモデルサイクルを使い切ることになるうえ、VWとの提携スタイルから、エスクにかまっていられないかもしれません。それでもやっぱり、全く異なるコンセプトのエスクードが生まれてくる日は、いつかやってくる。その4代目を受け入れていくことが避けられない将来となるのか、はたまた否定も肯定もする余地さえなく、次はないよ、という結論に至るのか。そろそろ兆しが見えてきそうな気がします。

2 Responses

んー、そう云う車にわざわざ残す程のブランドイメージが『エスクード』にあるんでしょうか?
例えば、『なんたらかんたら・クロスオーバー』的なネーミングで十分な様な…。
おそらく、その時のメイン購買層はそちらの方を好む様な気がするし。
個人的には、『エスクード』あるいはひょっとして『グランド・ビターラ』の名前を冠していても、エスクードのDNAを感じられなければ、それはもう別の車ですね。
じゃあ、『エスクードのDNA』とは何だ?と問われれば、『汎フィールド性』と『道具感』と答えるでしょう。

  • 要は、メーカーがこのクルマをお荷物だと思ってしまっているのかどうかで、行き先は見えてしまうのだと感じます。
    売れ筋のローテーションとしても、もはや硬派な四駆をラインに留めておけるだけのスタミナは各メーカーともにないでしょうし、他社が続々と方向転換する中、出遅れたか踏ん張ったかはともかく、図らずも硬派の部類に残ってしまったのが、良くも悪くもこのクルマの現在。海外版に「グランド・ノマド」なんて言うネーミングが出てきてしまうこと自体、行き詰まり以外の何者でもないのです。
    ところが、そこにこそ、ユーザーがエスクードに求めてきたものと、絶妙にマッチした素性があるわけです。高級志向や豪華さとは関係ない、ちょうど良いツールとしての塊感。現行モデルがそこへ回帰するのはかなり難しいけれど、まだ崖から落ちてもいない。
    つかみどころのないブランドイメージに、市場はついてこない。この既成概念を打ち破る何かが、僕らにもまだ体現できていないんでしょうねえ。