自分にとっては見知らぬ街とは言い難くなっている秋田県大潟村の「八郎潟」は、子供のころはまだ「日本で二番目の湖」という教わり方をしていました。その後の干拓事業が進み、今や地図上のスケールと自分の距離感が狂うほど広大な耕作地帯。そこに偶然にも、日本で唯一10度単位で経度と緯度がクロスする交会点が存在します。かつては水面でしかなかったこのポイントは、いまでは北緯40度線に沿って、あぜ道が一直線に走っています。
と、思い込んでいたら、必ずしも一直線じゃなかったわ。でもまあ、このあぜ道に限らず基点から終点までが平気で一万mとか五千mとかで区切られているのがこのあたり。カーナビゲーションの表示スケールを千mまで広げないと、潟の全体像が見えません。すると今度は、すぐ隣の路傍にピン打ちされている交会点まで、ナビのガイドがためらいもなく「目的地まであと10キロ」とか言いやがります。
今、日本で二番目の湖に格上げされた霞ケ浦も以前はぐるりと巡る湖畔の堤防上がダートでしたが、もうこれほど長いストレートの砂利道(しかも終点で曲がった先もずっとダート)は無くなってしまったかもしれません。舗装道路に戻ってもストレートの先が見渡せない、故に速度を上げて走るのがあほらしくなるという、なかなか素敵なところなのです。そして本州内は緯度であと一度分、北へ走ることができます。東北が大陸っぽく感じられる瞬間です。