「世界で屈指の美しさ」と言われる駅舎の上位にいる金沢駅にもかかわらず、鼓門の佇まいを「ビグ・ザム」とかぬかす人々のなんと多いことか。発想が貧困なんだよ、などと憤慨しながら、実は「両足揃った亀ヶ岡の遮光器土偶の下半身」を想像してしまう僕も大馬鹿者です。しかし等身を考えたら僕の方がマッチしている。
・・・いきなり金沢駅に失礼なことを書いています。猛省。
ただ、文献で見ると各国の美しい駅たちとは、金沢駅は全く異質。ドライに言いきれば意表を突いただけのような気がします。といって、その各国の駅舎がそんなにすごいのかと言えば、どこかステレオタイプな歴史観にも見えて、ごく普通。多くの日本の駅のスタンダードさは、するともはや箸にも棒にも引っかからないレベルなのかもしれません。
なんて炎上しかねないことをいつまでも綴っていてはいけない。僕ごときの美観なんて、何の修行も積んでいませんから。
その証拠に、こんなものを眺めて嬉々としているのです。大昔、さよならジュピターのPR漫画で描かれた(とり・みきさんだったかゆうきまさみさんだったかは忘れましたが・・・そもそもジュピターの宣伝だったかどうかもあやふや)火星の地上絵の解釈を思い出します。
駄美術、という表現ジャンルが、いかにきわどく鋭いセンスが無ければ成り立たない難しさの上に立って、失笑から大笑いを得ている。いや、笑っちゃうしくだらねーと思っちゃうのですが、面白いこともまたゆるがない。こういうのが金沢で開かれているその企画の力。恐れ入りましたが、保養になるはずの眼も回るのです。
そういう展示の中で、順不同ですけどとどめを刺してきやがる、ふざけんじゃねーぞと(良い意味で)目を回される展示もあります。動画だったらわかるでしょうが、動画はありません(ネットの海に漂ってるだろうから探して)
「『帰ってきた 駄美術百万石』 駄美術展覧会 in 金沢 PART2」。5月6日まで、しいのき迎賓館にて鑑笑賞できます。