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ネオフロンティア 今なんです

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平成初期三部作の二番手、ウルトラマンダイナは、前作ウルトラマンティガの時代を引き継ぐ形で舞台設定され、世界平和のもとに国家間紛争を無くしながらも超古代から仕掛けられていた人類滅亡の危機を乗り越えて十年後、新たな開拓の時代を描きました。ティガがウルトラセブンのような世界観をもとにハイティーン向けの作り方を特徴としたのに対して、ダイナの世界は初代ウルトラマンの世界観に近づけ、シリアスからコメディまで内包したエンターテイメント性を強めていました。

現実が追い越してしまったとはいえ、ネオフロンティア時代は2010年頃から始まっていたらしく、ダイナは2017年の火星開拓地から物語が始まりました。熱血漢の主人公、スーパーGUTSの分かりやすいキャラ、ある意味ヒーローメカとしてのかっこよさが際立つ彼らの戦力などもさることながら、ティガを彷彿、あるいは越えているような「魅せるドラマ」もちりばめられ、実はティガよりもダイナの方を贔屓している僕です。

番組作りは前作より優れたものを目指すわけですが、ダイナは、未曽有の人類破滅を回避したティガを上回ろうと、歴代ウルトラマンの中でも特異な幕引きに導き、その善し悪しが議論されました。カタストロフとカタルシスのインフレに陥ったといえばそれまでですが、最後の敵を退けたのち、主人公であるアスカ・シンは、光の世界にいざなわれ、15年前に行方不明となっていた父親のカズマと再会を果たし、二人の乗る宇宙艇は光の中に消えていきます。

その幕引きが、彼岸へ行ってしまったアスカ=死という印象を与え、議論の的となったのですが、僕の視点だと「2001年宇宙の旅」におけるディビット・ボウマンのようなイメージに見えていたので、アスカはネオフロンティアの更に先へと飛び出していったと解釈しています。まあヒーローものの最終回はいつでも、けりの付け方が難しいのです。後述しますが、その後のアスカは想像通り、宇宙を駆け巡る男という舞台を与えられますから。

ところで、ダイナの最終章とはいつ頃のことだったのか。脚本や設定、登場人物の対話を総括すると、第1話で火星域においてアスカがダイナとなった日からおおむね3年が経過しているそうで、西暦2020年、ことしなのです。火星のテラフォーミングも進捗しており、植物学者となったマドカ・ダイゴ(かつてのウルトラマンティガ)との邂逅や、火星で実を結んだ花の種も少しずつ収穫されているなど、開拓地の様子も変わっています。

アスカが光に消えた日は後に、記念日としてお祭りが催されるようになりますが、最終章の前に打ち上げ花火で大団円を迎える「ンダモシテX」や、緒川村と松本市の夏を背景にした「君を想う力」などがあり、侵略者が地球に警告を放った際の日本では半袖の人が目立つので、時系列としてその日は最終回の放送日である8月29日でいいかと勝手に結論します。お祭りが定着してしばらくした時代に、彼は地球に帰ってきます。それは2035年。まだ見ぬ未来のネオフロンティアです。

 

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