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  ~懲りない傾向~

惜別の帰還~遺されたメッセージ~ 下

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自分の正体が露呈しているかもしれないというウルトラマンは過去にもいたのですが、具体的に「ウルトラマンに変身しろ!」と言われてしまったのは、「ザ☆ウルトラマン」においてU40の戦士ジョーニアスと融合していたヒカリ超一郎でした。最終話の一つ手前で、科学警備隊内でそのような噂話が広がっていましたが、敵の本拠でこれを同僚に言われた時、ヒカリは別所の戦いに赴くジョーニアスと分離しており、秘密の保持以前に答えるに答えられない状況でした。

その分離の際、「この一番大事なときに」と訴えるヒカリに対して、ジョーニアスは「私を頼るな」と言い残します。その真意について、戦いが終息して二人が再開した折、ジョーニアスは「私たちのことをなぜ最後まで隠さなければならなかったか、わかってくれただろうね?」という問いかけ、「誰もが自分の力を信じて戦うべきだから。誰にも頼ってはならないから」と、ヒカリは答えます。ちょっと遠回しですが、歴代ウルトラの「自らの手で守る」が踏襲されています。

もっと具体的に「君の方に事情があることも知ってしまった。ウルトラの星に戻らなければならんだろう? それに今度の戦いで君は傷ついている」「もう、80に変身しないでくれ」と、UGМのオオヤマキャップに言われてしまうのが、ウルトラマン80(エイティ)こと矢的猛。だから変身しません。怪獣とは(回想シーンを除き)UGМが対決し、勝利する。猛は宇宙へ帰るラストにおいて変身という、ウルトラのメッセージを受け手として表現するに至りました。

ウルトラマン80は、中学校の先生がウルトラマンという部分が今なお語り草なのですが、ウルトラ族と地球人との邂逅と別離については、非常に前衛的にまとめられているのです。

しかしやっぱり、矢的先生としての80は教え子たちに何も告げずに去ってしまった悔恨を残したようで、ウルトラマンメビウスにおいて後日譚が描かれました。しかしこれは後日譚であって、最終話ではありません。

「ウルトラマンが現れたとき、誰もヒカリを見ていない」などと、長きにわたってドラマでほとんどスルーされていた疑問を逆手に取った「ザ☆ウルトラマン」でしたが、物語の流れとしては大した問題にならず、はたまた敵の親玉もU40最強の戦士だから正体を知りたい程度の欲求で、むしろ初代とハヤタの別れと対照的に、互いの信頼感を残して別離しながら、ウルトラの力に頼らない生き方をアピールしていったのがジョーニアスとヒカリの関係でした。

回想シーンを別にしてドラマ上最後の戦いにウルトラマンを登場させずに、80を乗り切った番組の英断は、歴代で最もウルトラのメッセージを具現化したものになりました。矢的猛は婚約者のウルトラウーマン(ユリアン)と地球の最後の余暇を満喫し、最後の最後で変身してウルトラの星へ帰っていくのですが、まあ、余暇を満喫している時間内に教え子のところに顔を出さなかったことは、あとになって「しまった!」と思ったことでしょう。

しかしそれ以上に、教育者というフォーマットを無理やり詰め込んだことが、放送局との絶縁に始まる円谷プロダクション破綻への道を歩み始めた歴史が哀しい。けれどもこの項はそこまで突っ込むものではないので、放漫経営と言えどもスポンサーに頓着せず、物語を紡ごうとしていったスタッフを称賛したいところです。

 

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