テレビシリーズの「伝説巨神イデオン」が放送開始となったのは1980年の5月のことで、今頃何を書き始めるんだと思われそうですが、その年の8月7日に第14話が放送され、地球連合軍前線基地ブラジラーでの激戦が繰り広げられています。基地司令のカミューラ・ランバンとユウキ・コスモの邂逅と死別を描いたエピソードは、後にカミューラ・ランバン・アタックと呼ばれるイデオンの全方位攻撃を繰り出し、バッフ・クランを退けます。
まだこの頃は、最後の最後まで登場人物がどれほど翻弄され命を落としていくかを想像しきれない、展開の途上でした。が、そこまでやって打ち切りの最終回か! とはぐらかされたのもつかの間、2年後の「劇場版発動編」で肝を冷やされ、ややこしいけど前の年にカタストロフしていた「劇場版宇宙戦士バルディオス」の衝撃の結末を上書きしてしまうのでした。巻き戻して40年前の夏はまだ、娯楽で見ていながら異様な緊張感が残る、そんなアニメーションでした。
ただ、これを手掛けた富野由悠季さんはずっと以前、「無敵超人ザンボット3」や「無敵鋼人ダイターン3」で、イデオンが極限まで行ってしまった因果の片鱗をちらつかせています。特にザンボットは冷静に考えるとイデオンよりも凄惨なのですが、それにはいずれ触れる機会を探すとして、イデオンには作り手にも視聴者にも共通の鬱屈を感じさせる異質さがありました。すごい威力であることを認めながらも、リメイクは望まない作品だよと思うくらい、自分の方が年老いてます。