夕刻よりちょっと前、涼んで珈琲をと筑波研究学園都市の「珈琲倶楽部なかやま」に出かけたらば、定休日以外に日曜日も当分の間休業という書き出しが出ていて「ひえ~」とのけぞっていると、併設されたギャラリーでは個展が開かれているというので、せっかくここまで来たのだから鑑賞させていただきました。
飯泉あやめさんによる「生きていることの狂気的幸福」
ひとつの言葉を、カレンダーの裏側の白紙に繰り返し繰り返しくりかえす文字列のグラフィックや、それに色彩とデザインを加味したボード。アクリル画によって描かれた心象風景のような絵画が待ち受けていました。
僕には絵心は無いので、言葉の表現とそのデザイン化の方に惹かれたのですが、壁一面に張り付けられたカレンダーの裏書きには、脅威を感じるほどの迫力があり、デザイン化されたボードには優しさが浮かび上がっていました。
アクリル素材で、ケーキクリームに使う絞り出しを用いて書き込まれた文字列は、風、光、大地、水といったエレメント。「それぞれの事象に触れたとき、自分がそこに存在することを確かめられて、そこには生の喜びを感じるのです」というのが、飯泉さんの談。10年ほど創作活動を続けてきて、4年前から作家として活動の本格化を果たしたそうです。
10年、と聞いてふと、それは東日本大震災のことかなと思ったら、やはりあの出来事が引き金になっており、犠牲者のあまりにも大きな被害を目の当たりにして、そのときの気持ちの赴くままに「□」の羅列を始め、その数は543000に及んだとか。彼女はそれから時間をかけながら、文字列もデザインも含めて、命の開花の素晴らしさと、そこに生きている足跡を遺してゆくために絵の具をふるっているのでしょう。
いやー、「大地」のデザインと色彩には衝動的に手に取ってしまいましたが、給料日前だったもんでそれを買い取ってくる財力が財布の中になかったのよ。
明日はお休み日で、30日までの開催。ギャラリーは11時から18時まで開かれています。個展の詳細は上記のリンクを参照ください。