石ノ森 章太郎さんが鬼籍に入ってからもう13年にもなる今、自分自身が宮城県で暮らしているという巡りあわせは、ひとりのファンとしては不思議な感慨があります。生家のある登米市にも、萬画館のある石巻市にも、1時間程度の移動で行けてしまう。今のところ、出かけていられる余裕がないのですが、生家でそのままに保存、公開されている氏の少年時代の勉強部屋。窓辺に置かれた机の風景を、また眺めに行きたいと思っています。そういえば、塩竈市には長井勝一さんの漫画美術館もあるんだ。長井さんは「月刊漫画ガロ」を創刊させた編集人で、それ以前は貸本漫画の文化を創り出した人でもあります。
ゲゲゲの女房を見ていた人には、長井さんをモデルにした登場人物も出演していたことを思い出されるかもしれませんが、つまりその時代となると、僕自身とは、ずれがあります。長井さんも15年前に逝去されていて、80年代末期には低迷を始めていたガロも、浮き沈みの後に90年代末に休刊となっています。
その年、石ノ森さんも亡くなられているのですが、最後の最後にプロット構成を進めていた作品の一つが、サイボーグ009の完結編。「2012 009 conclusion GOD’S WAR」と呼ばれることになる物語で、三部作のうちの第1巻は、執筆を長男の小野寺丈さんが共著者として2006年に出版しています。石ノ森さん自身が書き出している導入部分においては、1960年代の「石森さん」が、サイボーグ009を描き始めたきっかけについて語られています。
009たちは21世紀に実在するサイボーグたちで、彼らの闘いの記録を描かせるために、超能力者である001が過去の「石森さん」にテレパシーを送っていたという発想でした。その事実を伝えに、病床の石ノ森さん(ややこしいけど1990年代)のもとに、やはり001の力によって、2011年の未来世界から、ギルモア博士がタイムスリップしてくるという展開でした。
おお、2011年ですかい!
その後の009たちの闘いと大団円は、まだ発表されていません。ミレニアムとも言われた2009年(かなりこじつけ)にも動きがなかった。しかし表題とされる神々との戦いの年代には2012年と刻まれており、これを逃すとまたもや未完の大作となってしまう・・・
2011年。なにか起こりそうな、いやそんなこと起こってほしくないと言った方が適切なことしの、今日は石ノ森さんの命日。