味付けは異なるでしょうけれど、エスクードと同様の排気量で、今時と言われようとも5速マニュアルミッションと4速オートマチックトランスミッションという、もはや「日本になんか持ってこないよ」(現段階では)な構成です。軽規格の「ジムニー」、小型車枠の「シエラ」とも区別する「ジムニー5ドア」は、ロングボディモデルとして過去に例がなかった訳ではありませんが、おそらく誰もが「こんなのあったらねえ」とイメージしていたものと思われます。
寸法を見てみました。
ジムニー5ドア
全長×全幅×全高=3985×1645×1720mm
ホイルベース:2590mm
エスクードノマド
全長×全幅×全高=3975×1635×1700mm
ホイルベース:2480mm
見てみましたと言っても、これくらいしか情報無いのでデビュー当時のノマドと比べるしかないのですが、それみたことかというほどノマドの再現です。2000ccではなく、1600ccベースであるところが味噌。ノマドは排気量違いで全長が異なり、2000だとフェリー代が変わってしまったから。しかもあの当時「これが1500ccだったら税制的に楽なのに」と、家庭内大蔵大臣(昔は財務大臣じゃなかったの)に小言を言われたものです。
ところで、このモデルがエスクードノマドと決定的に異なる部分を持つとすれば、やはりどう見てもその佇まいやいでたちでしょう。それを負け惜しみと言われても仕方が無いんですが、5ドアはどこから見てもジムニーなのです。いやジムニーなんだから当たり前です。当たり前だけれど、その辺のどこに転がっていても何の違和感もなく、面白みもない。
こんなこと言ったらユーザー層にぶっ飛ばされそうですが、道ばたや納屋にあるキャリイと大差ないのです。思いきり仮定として国内投入されたとして、素のままで乗る人の方が圧倒的に多いだろうし、ドレスアップするにしてもほぼ昔の踏襲。「うわー、あまりにも四駆じゃないスタイルをどうやってカスタム化しよう?」と面白楽しく想像力を働かせたノマドとは違うのです。
まあね、それのどこが悪いのよ? ですよ。
さてその1600ノマドって、限定仕様で乗り出し約250万円くらいでした。仮に国内に持ってくるとしたら、5ドアはいったいどれくらいに値付けされるのか・・・
いよいよ5ドアジムニーデビューしましたね。
エスクードはエスクードで、当初からのオフロードもオンロードもこなせる、そして大出力のパワーユニットとフロント独立懸架サスペンションの利点で長距離もこなせるGTカーとしてスズキ唯一の存在なのでこれからも現役車種で長く愛されてほしいですね。
5ドアジムニーの登場と同時に発表で登場しているフロンクスにも次期エスクードのヒントはないかと考察しています。
歪んだものの見方として言うと、この三十数年、ジムニーがやりたい・やるべき将来像を、エスクードの存在に気を遣いすぎてできなかった。と、思ってみるわけです。
今回、両車の立ち位置が明確に区別されたことで、エスクードは堅牢な鎧を纏わずに済むようになり、オフロードという言葉も意味性を変えて捉えていくようになるのでしょう。
「そうじゃねーよビターラの在り方」って、海外のニーズの声がうねりでも上げてきたらどうすんのかなあとも思うんですが、まずはエスクードはEV路線の将来性に振っていくことは間違いないと感じています。
そのとき、他所のSUVに埋もれていかない、しかも好感度の得られる姿かたちをしていてほしいところです。中身はともかく、フロンクスにはそれを感じないなあ。