穀雨の候を迎えました。今時分の雨天気を百殻春雨(ひゃくこくはるさめ)とも言いますが、「暦便覧」を編纂した太玄斎こと松平頼救は「春雨降りて百穀を生化すればなり」と記しています。
「暦便覧」は、中国で生まれた二十四節気を日本版にまとめ直した解説書ですが、頼救といえば常陸国宍戸藩の第五代藩主。家督を譲り隠居してから太玄斎を名乗り便覧編纂に取り組んでいます。
宍戸藩が現在の笠間市であることは説明するまでもありませんが、昔は隣町、いまや同じ市内という位置関係のつくばーど基地としては、二十四節気や七十二候に関わる書籍とその編纂者が同郷に縁を持つことに、ちょっとばかり嬉しみを覚えます。
もっとも松平家は参勤交代をしない江戸常駐の家柄だったので、宍戸藩の管理は水戸藩が任されており、太玄斎による「暦便覧」も江戸において作られたというのが定説です。
巷では田植えの準備が進み、いよいよ春も深まっています。穀雨とはまさに恵みの雨の頃。この時期が開けると八十八夜が巡ってきます。
基地ではモッコウバラが見ごろとなってきました。もう初夏?