スズキがインドから持ってこようとしている新型SUVフロンクス(日本において新型)は、さてこれってSUVなの?(例えば駆動方式がFFオンリーでも括ってしまえるのか、とか、コンパクトさの中のユーティリティって優位性持つのか、とか)とも思うわけですが、わざわざALLGRIPにこだわる必要が無ければ、別にスタンバイ四駆で無くても安く買えるならいいですよ。というのがたぶん、昨今のエンドユーザーのニーズなのだと考えられます。
フロンクスって、四代目エスクードよりは小さく、クロスビーよりは大きくと、久々に自社内ニッチな車格で作られているそうで、OEM関係にあるトヨタで言えばライズ/ロッキー(ダイハツ)に非常に近いサイズと排気量。それでいてエスクードよりも長いホイルベースをアピールしていますが、これが2520mmですから2cmの差をエスクード(全長×全幅×全高:4175×1775×1610mm)より短い全長(全長×全幅×全高:3995×1765×1550mm)内に押し込めているとなれば、注目すべきは縦横寸よりも室内高で窮屈感が出ないかどうかでしょう。
三代続いたトールワゴン系エスクードも四代目では広義の意でステーションワゴン風に背丈を抑えました。この時点でSUVの行き場にクロスオーバーという隙間が各社の商品に浸透しているので、もはや腰高で足回りもがっちりと固めたフレーム車というのは、よほどの趣味性か実用性に目が向けられなければ、日常では必要性の薄いジャンルに流行の舵が切られているということです。しかしそう言い切ることもできないのが、JB64、74のあほみたいな納車待ちが続いていること。これは実用性と言うよりもうステータスとしての趣味性としか考えられません。
フロンクスの導入によって、ハンガリー製エスクードと、イグニスは販売終了となるそうですが、隙間車格である以上エスクードの後継車とは考えにくい。ジムニー5ドアを繰り出してくる情勢下に、需要の希釈を図ろうという意図は見え隠れします。しかしトヨタ版が売れるのかスズキ版が売れるのかと邪推すると、これほど面白みのないスタイル重視なだけのフロンクスに商機と勝機はあるのかなあと思わされます。