いささか大げさなタイトルですが、9月17日は世界初の宇宙往還機、スペースシャトル・エンタープライズが公開された記念すべき日です。が、本来ならこのお話は来年2026年こそが60年めの節目であり、エンタープライズに至っては1977年が初飛行という巡り合わせ。しかもこの機体、往還機性能のうち進入と着陸試験のためのもので、実際には宇宙に出ることがありませんでした。その辺のことはまた来年触れたいと思います。
エンタープライズという名称には、2025年はまだ縁があります。この5月、8隻目の襲名を果たし、すでに退役したアメリカ海軍の航空母艦エンタープライズに解体の決定が下され、2029年までにこの作業が終わる予定。同艦は戦後、世界初の原子力空母として1960年9月に進水したもので、この進水から今年が65年めにあたります。エンタープライズといえば、太平洋戦争時代の同名空母は日本とは仇敵関係でしたが、それについてはまあ棚上げしています。
この原子力空母のエンタープライズが現役のころ、アメリカでは後に大河ドラマ化していくSF宇宙冒険活劇「スタートレック=宇宙大作戦」が1966年に始まるのですが、その主役宇宙船こそがUSSエンタープライズ。NCC-1701の艦番で何世代にもわたって活躍しますが、最も勇名をはせた船長であるジェイムズ・T・カークが乗り込み、5年間の深宇宙探査任務に出向するのが2265年と、今から240年後の世界を描いていました。
ここから再びOV-101スペースシャトル・エンタープライズに話を戻しますと、この機体に予定されていた名前は、スタートレックファンからの熱烈な要望によって、「エンタープライズ」に変更された経緯がありました。宇宙船には至らなかったものの、多くのアメリカ市民の期待を背負った実験機がテストを重ねたからこそ、「人類に残された最後の開拓地」への道が拓かれ、240年後のエンタープライズに結び付くのです。