宇宙移民のインフラを調達するために使われた「小惑星ユノ―」が、その鉱物資源採掘跡の坑道などを軍事拠点化し「ルナツー」と呼称するようになったのが宇宙世紀の話。「ユノ―」は西暦1804年にドイツの天文家カール・ハーディングによって発見されており、この日がちょうど220年前の9月1日のことでした。楕円軌道とわずかな軌道傾斜角を持つ「ユノ―」をは火星と木星の間にあった軌道から月軌道に運んだ宇宙世紀時代の人類はけっこう高度な宇宙航行技術を有していたようです。
少なくとも宇宙世紀0079までには木星までヘリウム3を採りに行っているので、地球とは交わらない「ユノ―」の軌道も火星には接近するタイミングで接触し、体積 7160万km3もの岩の塊を運んでこられる軌道計算と運搬技術を有しているわけです。しかもこの技術は月軌道の重力中和点にスペースコロニー群を建設する頃まで遡って使われているのだから、モビルスーツは存在しなくとも基盤となる大型のモビルワーカーくらいは実用化していたのかもしれません。
「ルナツー」は地球を挟んで「月」と反対側の軌道に定位していますが、主にカンラン石や輝石などの「鉄を含有する」ケイ酸塩の石質隕石に属するコンドライトを採掘していたと思われます。これらは宇宙艦艇やスペースコロニー等の材料となり、「月」と共同で宇宙開拓資源として役立っています。が、地球連邦軍によるモビルスーツ装甲などはここでは採用されていない。それらはルナチタニウムと呼ばれているので、「月」で採掘されるイルメナイトが主原料となっているはずです。
しかし「月」側のサイドから独立戦争を挑まれた宇宙世紀の勢力圏は、連邦にとってはそこまで制圧されちゃったのかというくらい不利な状況で、そんな情勢下でよくまあルナチタニウムなんて貴重資源を確保できたものです。月面都市フォン・ブラウンとアナハイムエレクトロニクスの貢献度によるものでしょうか。いずれにせよそれではいかんということで、「ルナツー」が重宝されていたのです。9月1日、「ルナツー」では「今日はユノ―の日」とかやっていたかもしれません。