歳をくったこともありますが、それ以上に馬車馬状態のことしは時間どころか月日の流れが速すぎ。ちょっと前までひまわりが咲いているなあと思っていたのに、街道はススキとコスモスに入れ替わってきました。
北海道ほどではないにしろ、東北の秋もけっこう駆け足。
またもや1号郵便投函箱丸型です。レギュラー仕様の朱色ではなく、カシスレッドに塗られた独特の赤。
このポストが「それ」であるかどうかを確認したら、どうやら本物は近傍の公園内にあるらしいですが、まっぶるマガジン秋田版の地図を見ていると、「恋文ポスト」とマーキングされた表記があって、その地図縮尺から正確な場所が分からなかったものの、道の駅ふたついにあるこのポストには、由来を記した看板が添えられています(でも名称までは明記されていなかった。うかつだった)
なんだよ、本物じゃなかったら記事の素材にならないよと思ったのですが、きみまち恋文全国コンテスト、というイベントのことは、それこそ20年近く前に別の場所、筑波研究学園都市で、地域おこしのためのシンポジウムに出ていて聞いた記憶がありました。このコンテストは1994年に開かれていますが、きみまち阪の町を訪れるのは、それ以来初めてのこととなります。というより、ここだったのだとは知らずに、二ツ井は大舘と能代の行き来の途上で素通りしていたのでした。
きみまち阪、と名付けたのは明治天皇だそうで、東北巡視の際に訪れたこの地の景勝に賛美を唱えたとか。その際、1通の手紙が明治天皇を待ち受けていて、その差出人が皇后であったというのが、コンテスト開催のきっかけとなっています。由来を記した看板によると
大宮のうちにありてもあつき日を いかなる山か君はこゆらん
としたためられていたそうで、なるほどこれは恋文だわ。と。いやはや、遠路はるばるやってきた地で、こんな手紙が先に届いていたら、嬉しくなってにやにやしちゃいますな。Eメールではこの味わいは醸しようがない。
恋文とは異なりますが、僕の場合、こんな出来事がありました。震災直後の混乱期、これはことのほか嬉しかった。
黄色の郵便差出箱一号丸型。フランスやらドイツやらの文化に習ったのかと思ったら、黄色いハンカチの映画に倣ったのだとか。このポストから手紙を出すと、幸福がやってきたり贈れたりすると。
なるほど素晴らしい。ペーパーメールと電子メールの比率は、きっと電子情報側に傾いてしまったと思われますが、手紙の書き方というのは、一つの文化としてみても他者とのコミュニケーションの手段としても、忘れてはいけないものだと感じます。しかし僕なんかひどい悪筆なので、葉書やら便箋やらにはモノを書けない人種の1人です。それ以前に駄文しか書けないし。
ところで、黄色いポストというのは、国内にはほかにもあるのかどうか探してみたところ、福岡市城南区の花みずき通りふれあい広場と、「JR日本最南端駅」とされる指宿市の西大山駅にあるそうです。なんと、九州に二か所もあるというのがすごい。