端的に言ってわざわざ映画版として作る必然がないものの、25分の一縮尺の都市セット、とりわけその大きさの国会議事堂なんて、映画予算を組めなければ不可能でしょうから、大画面で見せるカードを堂々と切れた「ウルトラマンブレーザー大怪獣首都激突」。わざわざ映画に・・・と思ってしまったのは、逆の話でそれだけテレビ版のクオリティーが全体的に高かったからです。ニュージェネレーションのウルトラ映画はそれこそわざわざ大仕掛けをしてきましたから。
ブレーザーの場合、前評判が「ブレーザーのいよいよ正体判明?」「ヒルマゲント隊長の変身ばれ?」などが取りざたされていましたが、そんな大仕掛け予想はすべてうっちゃられて相変わらずの面々が普段通りの活躍をして、地球の危機には違いないけれども国会議事堂半壊させるカタルシスでもって、怪獣を撃退しました。格闘戦の尺はさすがにテレビじゃできないねえという長さでしたが、テレビの方で使われた切り札はさすがに「あー、もったいなかったかも」の二度目の披露。
怪獣現出の理由、それを促した地球外文明のものの見方は新しい視点ですが、通して観ていて「これをわざわざ(←しつこい)映画として・・・」という感覚はぬぐい去れなかった。それでも映画というフォーマットを扱い、着ぐるみが激突する質量感をスケールアップさせた特撮の王道を行く作り方には見入ってしまうのです。なんだかんだと言いながらも「面白くない映画では全くなかった」のですから、素直に評価すりゃいいんでしょうね。
田口清隆監督によれば「次を作れる要素で撮った」から完走していないとのこと。その中で次を期待しようと思えば、最後の最後で描かれる日常の一コマにとんでもなく大団円な締めが待っていました。しかしその大団円はハルマゲドン級の爆弾でした。もちろんそんな物騒なことではありませんが、その先を描いたらどうなるのやらでもあり、このままおめでたく締めくくられるが吉です。映画はテレビの後日譚とか。ゲント隊長、つかの間の休息にやることやってる。