2.7XSは2.0XGのデビューから一か月遅れて市場投入されました。V型6気筒を継承したモデル、ブロックも初代、二代目から引き継がれたH系エンジンです。2.0XGのときと同様にアリーナ店が試乗車を用意してくれて、梅雨入り直後の筑波山に持ち込みダート林道でのテストをさせていただくことができました。この頃僕は先代らすかる、ТA11Wに乗っていたので、運転席に収まった時の三代目の感覚的な大きさに多少戸惑いましたが、外から眺めると驚くほどには大きくなかったのを覚えています。
2700ccにはグランドエスクードという前例があったものの、当時まだTD61Wや62Wなどの経験値を持っていなかった僕には、北米狙いとは言えスズキがこんなに大きな排気量の車を作るようになったのかと感心したものです。2000ccのV6で、いかに低中速トルクで泣かされたかのうっぷん晴らしのような力持ちです。これまではある意味マニアックな選択肢を働かせた、限られたユーザー層が受け入れてきたエスクードを、三代目はより底辺を広げるだろうと確信できました。
なら乗り換えろって話はまた別の話で、心情としてはこれほど大排気量でなくともいいんだよなあとも思わされていて、燃費基準だとか環境基準だとかがハードルを上げていく中での三代目が心配でもありました。まさかこのあと、N系V6の3200が出てくるとは考えも及びません。
2005年あたりでは、その後増えていく三代目に拮抗し得るくらい、初代モデルのユーザーさんも多く、つくばーど®のイベントに参加してくれていました。二代目も決して少なくなかった。僕自身も先代らすかるを10年走らせているさなかでしたから。一つ言えることは、三代目の登場とラインナップの充実によって、エスクードにも「歴代」という言葉が使われるようになっていった節目だったのです。