と、Team WESTWINの島監督から電話が入り、これがいつもの陽気な彼ではなく、けっこう真剣な声色だったもので、こりゃあ少なくとも「過去にエスクードが登場したことのある特撮番組って何と何?」ってな問い合わせじゃあないよなと、こちらも姿勢を正して「何事でしょ?」と応対します。
「実は、川添くんの車のことなんですが」
おお、ついにE-376Ⅲの大掛かりなモデファイが始まるのか。開幕戦を頭脳戦で勝ち抜いた川添選手でしたが、車両の方はほとんど手を加える時間がなく、肝心のミッションにも1速が入りにくいという問題を抱えた状態だったと聞いています。足回りはデータが蓄積できているだろうから、ミッションか駆動系をどうにかしたいのかな・・・
「彼の車に、初期型のTA01Wのラジエターグリルは取り付けられますかね?」
はいー? と、一瞬何を言いだしたんだ監督? などと混乱しながら、瞬時に脳内情報処理を開始。どういうことだ? インテークとして見た場合は確かに51Wのそれよりは開口部は大きい。もっとも、彼の車のグリルパネルは51Wではなく、11Wのものに交換してあるのだけれど、こんなことは誰も気がついていないだろう。いやしかし、そんなことよりなぜ01Wのグリルを使いたがるかを知らなくてはならないのです。
「結論から言うとですね、排気量が上がった11W、31Wの時点で、ノーズラインやバンパーのデザインが変わっていて、エンジンフードの先端がほんの少し前に出ているんですよ。当然、前面のパネルラインがそれに合わせて変更されているので、ツライチで仕上げることはできない。ついでに言うとヘッドライト周りのパネル構成も変わっているので、左右のフェンダーともピタリと合わせられない」
「あ、なるほど。そう言えばエンジンフードも盛り上がっていましたっけねえ」
ん? そこか! ひょっとして川添選手は、フロント側の軽量化を考えていて、J20Aのオイルパンをとっぱらって移設するか、まさかのドライサンプ方式に改造して(そこまでやるかよ)エンジンの取り付け位置を下げたい。そうすればエンジン上部のストラットタワーバーも、エンジンを避ける形のアーチタイプな純正部品を撤去してフラットなものに変えられる。結果的にフロントを構成する全パネルを01W用に交換できて、少なくともエンジンフードの重量を現在よりは軽減できる・・・
いやしかし、実際に計量したことはないので、2リッター用のフードと1.6リッター用のフードとで、どれほどの軽量化になるのか(後者のほうが軽いはずではあるが)。そこを軽量化しても、フェンダーパネルにはフロントタイヤのトレッドに対応させるため、2リッター用パネルからオーバーフェンダーを移植しなくてはならない。バンパーは・・・おそらく外してしまうのだろうけれど、いずれにしても一番大掛かりなのはエンジンの構成ということになるのでは?
などなどと思いめぐらしたことを一通り説明すると、監督はちょっと困ったような口調になって、こう言うのでした。
「いやー、そういうことじゃないんですよ。あいつ、テンロクの顔の方がかっこいいとか言い出しやがって。どうしてもテンロク顔にしたいって頼み込まれてるんです」
その言葉が入力されたこちらの脳髄は、5秒ほどフリーズ。
しまったー、Team WESTWINのドライバーは、島監督の時代から、「かっこいいことは武器の一つ」という、カタチから入る妙な伝統があるのを忘れていた。しかしどうなるんだ? この案件・・・ どうしてもやるというなら、チーム所有だった黒いテンロクが、初期型ではないけれどトレード用に使えるはずだが、
「あれはよくよく調子が悪くなって故障続きで、処分しました」
じゃあ・・・昨年ひっくり返って不動になったと聞いているハンガースポーツさんのコンバーチブルから移植するか。
「それ考えて車を見に行ったら、ニコイチされて1台復帰してましたよ。よりによって復旧用に移植されたのがフロント全般」
あー・・・いずれにしても先が思いやられるというか、波乱の第二戦前です。
やけに引っぱる意図が透けて見えたので、見栄えあたりで落とすのが見え見えですよー(汗)
ちなみに顔のポン替えは出来ないはずです。純正品で綺麗にとこだわるならAピラーから前は見えないトコまで全取っ替えだったような。あと、TA01顔ってことはラジエーターサイズも現物合わせしてバンパーに収まるか確認した方が良いかも?
だって見え見えに書いたんだもーん。
とりあえず01のグリルを縦に割って延長して、あとは板金の力技で…
って大変そう…(汗)
そんな労力かけてまで・・・いややっぱりやりたくないーっ
一応本人に却下を言い渡しております。。。
あっさりとあきらめてくれるといいんですが、なんか独力で始めちゃったりして。
TA01調達してエンジンとミッションを51から移植する方がナンボか面白い気がする。51のガラは元の持ち主に返して、2.5エンジンを積むとか。
それだと今回のお笑い系から乖離して真面目路線になってしまうので。
その方法については別の機会に楽しみましょう。