2006年晩秋、我々の間で「E-376」と呼ばれていたエスクードが、その制作者による最後の耐久レースを走りました。
サスペンショントラブルによる幕切れではあったけれど、E-376は応援に駆けつけた仲間の記憶に焼き付いていきます。
制作者はWESTWINの島雄司さん。このレースを現役最後の走りと宣言し、周囲を驚かせました。
その後一度だけ、地元九州でのレースに、2台目のエスクードでエントリーしたものの、アクシデントによって島さんまで出走順番が回ってくることはなく、このエスクードもリタイアに終わっています。
翌年の2007年、やはり晩秋。島さんは監督として、自ら「秘蔵っ子たち」と鍛え上げていた2人の若手ドライバーを、E-376が走った京都コスモスパークに送り込んできました。
しかし諸事情により監督不在のWESTWINという状況と、トランスポーターから降ろされていくクルマがパジェロミニである風景に、誰もが首をかしげるのです。しかし2人のドライバー、川添哲郎君と後藤誠司君は、周囲の下馬評をものともせずに大排気量から軽自動車まで混戦の耐久レースを走り抜き、デビュー戦を二位で飾っていくのです。
まさにWESTWINニューゼネレーションの誕生のときでした。
その後のWESTWINの活躍は、川添君、後藤君それぞれのダートトライアルが展開され、時々、エスクードも思わぬ作戦によって復帰するなど、沢山のエピソードを紡いでいますが、JXCD第二戦が終了した今、早くも次のステージに向けて準備が開始されています。
それが、あの京都におけるXC耐久レース(6月27日)。E-376の退役、パジェロミニのデビューという記憶に刻みつけられたレースに、WESTWINが戻ってくるようです。
「ドライバーは3人体制で考えています。つまり、私も戦うということです」
JXCD第二戦前夜、広島のレストランバーで、島監督は遂にその一言を告げました。参戦車両は耐久仕様のもう1台のパジェロミニを投入すると思われますが、島さんが若手と一緒に戦うという、大きなエポックが明らかとなりました。最近、「やつらには言いませんけど、あの成長ぶりには追い越されたかなあと思うことがあります」とつぶやくことのある監督でしたが「私自身の闘志は負けちゃいませんよ」とも。
無念にも同じ日曜日、こちらはつくばーど主催の第2回Fレイドで、精神的な耐久走行の最中となり、このレースの観戦に行くことは出来ません。京都に赴くことの可能な方々、WESTWINの熱い戦いをぜひ応援してあげて下さい。