BLUEらすかる・TD61Wは2020年の「いま」ですが、これが登場する少し前まで、つまり2005年の「当時」、偉業(自分で言うかよ)の途上にあったのはTA11W・とるねーどらすかるでした。三代目エスクードがデビューする中、まだ巷は初代モデルの時代も続いていて、使い勝手からノマド系や5ドアと呼ばれる後期型が多くを占めていました。二代目に乗っていた人々には逆風の世の中ですが、二代目だって現在のSUVをみれば、立派な祖先と言えるでしょう。
翻ってうちの初代のらすかるは、「あーまーど」「すとらいく」「とねるーど」とアップデートを重ね、最終系のネーミングは「マクロスフロンティア」よりも早かったという、まあどうでもいい逸話もありますが、月までは行ったものの、戻ってくることができませんでしたし、今となっては430000キロという記録もかすんでしまいました。それでも、とるねーどらすかるがあったからこそ、月まで行くとか往復するとかの愚かながらも野望や夢を抱けました。
現行モデルに乗る人々には、このような趣味と実益(じつえきー?)を重ねたようなロングライフステージで、自車と対面しているのかどうか、知る由もありません。どのみちうちのは過去の栄光なので、埋もれていくだけですが、少なくとも「一生もの」を得ることはできました。いや、その割には乗り換えてますけどね。でもあの頃「雷蔵が初代エスクード以外に乗るはずがない」って言われちゃってましたから(笑)。自分でも、それでいいのです。
ところで、二代にわたっている「らすかる」はV型6気筒でツインカム24バルブ。それぞれ2000ccと2500ccですが、基本構造はシリンダーサイズ以外ほぼ共通です。このマルチシリンダーゆえ、同じ排気量で直4に比べると、やはり立ち上がりはおっとりしていて回さないとトルクを得られなかった。ただ僕の中ではその直4も5ドアボディーに載せると、大径タイヤなど履こうものなら元の木阿弥。ことV6はトルクバンドが狭かったのです。
加えてV6はもともと別のセダン系計画用として考えられていたユニットを、共同開発のGМから押し付けられたという噂話もあり、そもそも載せる車体がないじゃん状況下でエスクードに白羽の矢が当たってしまった。従前の1600用車体にだって重量・強度的に合わないのでタワーバーで補強するから今度は天地が合わずエンジンフードがもっこりします。整備性やコストの問題から、V6はある意味嗜好品的な位置づけとなり、主力は直4に譲ることとなりました。
それでもユニットは初代の時点で2500に拡張され、トルクの問題を解消し、二代目でグランドエスクード用2700へ進化し、これがボアアップの限界ですが三代目へと受け継がれた。贔屓目に見れば中間の2500こそ余力を持った安定のエンジンとも考えられます。まあね、マルチシリンダーってそれだけで魅力的だったのです。僕自身は1600のエスクードの方が所有経験多いんですけど(笑)。直4の2000だけ乗っていないのが画竜点睛を欠いています。