写真家の山崎エリナさんがおいでになり、この2年間撮り続けてきた新しい写真集、『Civil Engineers 土木の肖像』と『トンネル誕生』を届けてくれました。土木工事の現場に働く人々は、山崎さんをすっかり魅了したようです。
それにしても福島と新潟を行ったり来たりの仕事をずーっと続けていたとは、スタミナあるわ。
山崎さんはそんなわけで、第1作目の『インフラメンテナンス』以来、この業界で引っ張りだこになってしまいまして、講演やらインタビューやらでずいぶんと露出が多くなり多忙の人です。で、建設業界の偉い人が「この活動は建設業のアピールやイメージアップにとって、とても重要なこと」というような受け答えをしているのですが、何言ってんだおっさんと思わされる。あんたたちが何年かかっても実効の見えない活動とやらを、たったひとりの写真家の写真集がひっくり返してしまったんですよ。
それをわかってるのか?と言いたい。山崎さんはこの後も、現場と笑顔を主たるジャンルで撮り続けてくれるそうですが、それなりに苦心しているのです。何をどんなふうに表現すればいいのか、だとか、シャッターを押す瞬間の気持ちが伝わるだろうか。などなど。あえて伺わなかったけれど、撮りたい衝動に駆られる被写体のジャンルは土木の世界だけではないはずだから、そちらに費やすべき時間も削らなくてはならない。そんなスケジュールの中、わざわざ訪ねてきてくれて近況を話してもらえるなど、僕も頭を下げなくちゃなりません。
愚痴を言うよりPRですね。『Civil Engineers 土木の肖像』は、前作で工事現場と老朽化したインフラの現状を撮りに行きながら、そこで働く人々にこそ魅力があると気づいた彼女の視点で、現場の人々の1年間を季節ごとに追いかけています。新潟です。真夏は熱中症と戦い、それ以上に厳冬期が大変な土木の現場ですが、「これが我々の日常」という言葉に魅了されて、いい表情をとらえています。
判型等 B5 判横型 120 ページ 定価 本体 2200 円+税
『トンネル誕生』では、山をくりぬいてトンネルが貫通し完成するまで、時系列で記録を取るように様々な場面をまとめています。工事に縁のない人々にとっては、この空間と時間は日常的に触れることのない素材。東北では僕もいやっちゅーほど坑内に入りましたが、撮らねばならなかったのは「震災復興を目指す人々のまなざし」でした。いやー正直に言うと、エリナさんが同じベクトルでファインダーを覗いていたことに、俺まんざらじゃなかったじゃんと自画自賛(ばか)
判型等 A4 変型判 96 ページ オールカラー 定価 本体 2200 円+税
どちらもグッドブックス社から出版。そろそろ書店にも並んでいる頃です。