Trend-Blue

  ~懲りない傾向~

ゴルザの憂鬱

2 Comments »

ゴルザ、というのは「ウルトラマンティガ」の第一話以降、ちょくちょく出てくる古代怪獣のことですが、その第一話において出現したモンゴル平原(高原)から、わざわざティガの遺跡に封印された光の巨人像を破壊するため日本海を渡ってくるパワフルな怪獣です。なんでそんなに執着するのかなあと思っていたのだけれど、「ティガの遺跡 っぽい」を書いたときには意識していなかった、光の巨人は三千万年前に遺跡に実体を封じて宇宙へ去った、という設定が関わっているようです。

よくよく考えてみたら、三千万年前って、まだティガの遺跡が所在した東北地方はおろか、日本列島自体が無いのです。列島になる予定の陸地はおおかたが大陸の隅っこの沿岸部分で、その頃だったらゴルザも地続きの陸路だけで遺跡に辿り着けたはずだったのです。当時のゴルザが何をもたもたしていたのかまでは知りませんが、さっさと遺跡つぶしに行けばよかったものを、何世代かほったらかしにしていたがために(当時のゴルザとティガのゴルザは、たぶん先祖子孫の関係だという前提)、遺跡ができてから一千万年くらいの間に大陸沿岸はプレートの活動で引きちぎられ、東日本になる予定の大部分はついでに海中に没してしまったのです。

何らかの理由で覚醒した現代のゴルザは、モンゴルから沿岸まで出てきて、そりゃ驚いたことでしょう。遺跡が消失しているのですから。しかし怪獣同士の意思疎通なのか闘争本能の伝播なのか、時を同じくしてイースター島から別の怪獣メルバが復活し、これまた一直線にティガの遺跡を目指して飛んでくる。ゴルザはこれに導かれて、思わず日本海に泳ぎ出したか、海底下の地中を進んできたかで、秋田県に上陸しました。メルバもまた光の巨人殲滅という命令を何者かに刻まれていたようですが、どうやってティガの遺跡の所在を突き止めたのかは謎です。

この、何者かというのは超古代文明を滅亡させかかった闇の意志に操られた巨人たちであろうと思われますが、その背後に控えていたのはあまねく宇宙に拡散しているダークマターではないか。ダークマターは天の川銀河の九割を構成する謎に満ちた物質ですが、それがもたらす重力は地球へ巨大な隕石を衝突させるような軌道攪乱を起こす可能性があるといわれています。もちろん、これが巨人をかどわかし闇の勢力へ変貌させた意志とどうつながるのかは解明されていません。

ダークマター素粒子は地球内部にも存在しており、衝突すれば消滅する。その際の熱エネルギーが大規模な火山活動を発生させたという学説もあります。火山活動の原因はプレートの移動であり、地球表面が分断され大陸が複数誕生するだけでなく、複数のプレート境界線では広域火山帯の生成とともに日本列島のような特殊な地形をも生み出してきました。それらが地球内部と、太陽系規模の運行による銀河系での濃密なダークマター集積ゾーンとの接触によって引き起こされ、本来大陸の沿岸にあったティガの遺跡も三千万年をかけて移動していったのでしょう。

奇しくも三千万年という歳月は、多少の誤差もありますが、銀河水準面に対して上下方向に蛇行して公転する太陽系が、銀河系の中心部を通過する周期でもあり、銀河中心こそ塵、ガス、恒星、ダークマターなどの過密ゾーンなのです。闇の巨人を光の戦士へと導いた地球星警備団団長・ユザレがタイムカプセルを遺していましたが、あれを深く解析できていたら、そろそろ地球が危ない時代だよというメッセージが出てきたのかもしれません。

ウルトラマンティガも、もとは闇の勢力でしたが、現代においては地球人に刻まれていた光の遺伝によって、闇の姿ではなくユザレに諭され転生した光の巨人として復活したのは幸いでした。ただ、三千万年前というと、まだホモサピエンスは存在しておらず、狭鼻下目のヒト上科がオナガザル上科から分岐した頃です。テナガザル、オランウータン、チンパンジー、ゴリラではなく、ヒトへの成長種に光遺伝子が託されていた。これは奇跡です。ゴルザ、なにをのんびりしていたのか・・・

2 Responses

ウルトラマンティガの本放送時、ぼくは高校1年でしたね。
最初は観ていたが、どうもかつてのウルトラシリーズの印象が拭いきれず途中で飽きてしまいました。
しかしGUSTやTPCと電離層の生物、クリッターとの攻防のストーリーは、考えさせられるものがありましたね。

夏には「シン・ウルトラマン」が公開されるが、これがどんな作品になるでしょうね。

  • 怪獣が出てきて宇宙から来た巨人が出てくると、やることはだいたい決まりです。
    そのプロセスの途中にどんな味付けをするかで、ティガにもなるしシンにもなるのだと思います。
    ティガは確かに、攻めようとして消化しきれなかったところもありますが、シンとの最大の違いは、新しいものを創造しようとしたことでしょう。