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  ~懲りない傾向~

まれびとの姿

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それを言ったら四国にも小笠原にも行ったことはないのですが、沖縄県という2000キロくらい彼方の島にはまだ訪ねたことがありません。沖縄行きにはパスポートが必要だった時代、遡れば太平洋戦争での辛酸など、僕には想像の域を出ない歴史を刻んでいる沖縄県について、自分自身が初めて耳目にしたニュースというのが、アメリカからの領土返還の報でした。当然、ブラウン管にかじりついて見ていたウルトラマンやセブンの作り手に、沖縄の人がいるなんてことは知らなかった。

朝ドラ然り、プロジェクトXの再放送然り、4月になってから妙に沖縄発のドラマやドキュメンタリーを目にするなあと思っていたら、領土返還50年目の春でした。そのなかの一つが、円谷プロでウルトラの企画や脚本を手掛けていた金城哲夫さんを、同郷で同業者となった上原正三さんの視点で描いたドラマがあり、その中で描かれた、金城さんと実相寺昭雄さんの対話が突き刺さりました。「ウルトラマンは金ちゃんが作った。ウルトラマンは沖縄からやってくるんだ」

沖縄が領土返還された年、ウルトラは第二期に入り「ウルトラマンエース」が放送されていましたが、この頃金城さんは円谷プロを去り沖縄に帰郷しています。が、東京での仕事に疲れ、故郷に戻ったものの、自身が「まれびと」のような存在になってしまった演出になんとなく歪みを感じます。ウェショーさんの視点だから、金城さんは「既に円谷にいた人」なんだけれど、金城さんが上京して円谷プロに関わるあたりからの、入り口の物語がまだない。

奇しくも沖縄復帰50年の週末に合わせた「シン・ウルトラマン」の封切り。「まれびと」であるウルトラマン解釈について、「ふたりのウルトラマン」を先に見てしまったがために余計なことを考えてしまい、実は僕の中では「シン・ゴジラ」以上に重さを感じる映画になってしまいました。果たして今回のウルトラマンは、やっぱり故郷に対しては金城さん的な立場に見えてくるのですが、地球人にとってもいろいろ思惑の対象でありながら、身内には受け入れられたところが救いです。

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