ワンオーナーのまま長く走らせたクルマは、「となりの妖怪さん」的に見ればツクモ神と呼んでも差し支えないと感じました。26万キロの道のりを、クロさんはただ一人の所有者として旅してきたのです。エンジンは軽快に回っていますし、五速のミッションも小気味よく入る。でも、補機類の各部が故障しており、運転席の窓も開きません。たぶん、それらは部品が出てくれば、究極には出なかったとしても直せなくはないでしょう。
そこがこの数年の彼女の悩みでした。考え抜いた末の、TA01Wを退役させる決断です。奇しくもこの初代エスクードの任意保険満了が、2024年5月25日夕刻。スズキエスクード36年目の誕生日でした。
風は穏やかで湿度も低く5月らしい日和の午後、お疲れ様のお祓いを受け、「そんなに長く愛されているんですねえ」と目を細める参拝客にも見守られて、本当のラストツーリングに出かけていきます。
お見送りにいらしてくださりありがとうございました。
和邇さんの暖かな労いのメッセージは、
きっとそうであるはず、と私も思います。
まだもう少し頑張れそうだけれど、
各所既に細かい故障や傷みが出ており、
エンジン周りも年式相応にオイル滲みが進んでいます。
それでもずっと頑張って走ってきてくれた子なので、
撮影して頂いたエスクは
なんだかとても誇らしげに見えました。
大室を護っている龍神が雨を降らせずに雲を流していた景色と、そこにいるエスクードは独特の雰囲気を投げかけてきましたよ。
見納めという風景は何度経験しても寂しいんですけどねえ。