宮城県川崎町にある国の直轄管理ダム、釜房ダムは、仙台市やその南の方の水がめとして管理されているだけでなく、ダム湖に国営公園が隣接しキャンプやらアウトドアスポーツやらインフラツーリズムのベースとしても活用されています。
そこに突如、昨年秋にダムカレーが誕生し、誕生の話を耳にしたときには1カ月限定、1日5食というデモンストレーションが終わってしまっていて、ネット上の写真でしか見ることができませんでした。
先日、知人から連絡があり「明日からレギュラーメニューで始まるようだよ。でも1日10食限定だそうだよ」という話。そりゃ行かなくちゃなるまいと行ってきましたよ(仕事しろってば)
全国多くのダムカレーは、ご飯がダムの役目を果たしカレーがダム湖を表現している事例を定番としていますが、釜房ダムカレーはこれを逆転させています。
発案者が頑固の変わり者なのです。しかしアイデアマンでもあり、プロデュース能力に長けているうえ、知らんぷりして「始まるようだよ」などと電話をかけてきやがります。
通称「釜房湖」は、写真のライスのような形をしていて、付け合せのサラダが国営みちのく公園を、カレーが川崎町の深い森をそれぞれイメージさせています。
するとダムの出番がない。
そこが釜房ダムカレーの企画の妙。県内在住の陶芸家に依頼し、わざわざダムの形をした器を制作してしまいました。福神漬けやラッキョウ、漬物の3種を乗せている蓋のデザインは、釜房ダムが放流する際の3基のコンジットゲートを表しているのだそうです。これを取り去ると、ダムカレーとしておなじみの、子供でも食べやすい甘口だけれど、レトルト食材を温めたのではないきちんと作られたビーフカレーが入っています。
こうなると、ご飯に上からカレーをかけるのは無粋に思えてしまい、ダム湖のまわりを埋めていくようによそるしかないと。しかしお子さんを伴ってこのダムカレーを自分でよそる、という楽しさもあります。
肉は川崎牛だそうです。いや・・・それ知らない。とたずねてみたら、A5ランク物は仙台牛として出荷されているらしい。カレー用はそのランクではないにせよ、けっこうたくさん入っているのがうれしい。
みちのく公園のロードサイドにある展望所を兼ねた「かもしか茶屋」では、1200円で出しています。ん、東北のよそのダムカレーよりちょっと高い? と思ったら、食後にコーヒーかデザート(アイス)をつけてくれます。川崎町内ではここ以外の何軒かで、限定10食ですがレギュラー化したとのこと。
東北では津軽、長井、摺上川、三春に続いて5番目のダムカレー。と思ったら、岩手県の胆沢ダムにもあるらしいので6番目? 後発とはいえ、いや後発ならではのやんちゃなダムカレーと言えるでしょう。