福島市に先月のはじめのこと、震災からの復興と未来を思ってのアートとしてのオブジェが設置され、これが巷で炎上し、先日福島市長と製作者からの謝罪が発表され、撤去が決まったと。
その経緯については、門外漢の立場にて何も言うことはできません。けれどもそのアートとやらを拝見し、これはもう風評被害の再燃だとか見ていて不愉快だというより、どういうセンスしてるんだ? という時代錯誤な造形にしか映りませんでした。
2011年にデザインと制作が行われたオブジェの設定は放射能防護服とも未来へ向けた宇宙服とも言われていましたが、「機動戦士Zガンダム」あたりでモビルスーツに乗り込むパイロットのノーマルスーツの工業デザインにずいぶんと垢抜けたセンスを感じたのが80年代。今回のアートは意図して60年代のセンスにアートを求めたのでしょうけれど、それにしたって同年代の「光速エスパー」の方がずっとましだわ。
賛否両論の比重で言えば否定と拒絶の声が多かったアートオブジェの話題は、僕が鈍いこともありましょうが宮城暮らしで見ているテレビニュースなどでは知りえないことで、インターネットならではの拡散でした。聞けば製作者のひとつのテーマは放射能に対する反対意思として、東日本大震災よりもずっと以前の原子力発電所トラブルに端を発した活動だったそうですが、つまるところ「それはそっちでやっててよ」というのが東北人の想いなのです。
しかしこういうことが、人の口には戸を立てられないネット社会で恒常化していくと、たとえば「ウルトラマン」の後付け世界観で「M78星雲の光の国」→「プラズマなんとか人工太陽の暴走で変異してしまった人々」というあれまでもが引き合いに出されたりしないかと心配になります。