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  ~懲りない傾向~

フィガロの昨今 第一楽章

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日産によるパイクカーとして1991年に登場したフィガロは、その素体が初代マーチの後期型を使っていながらまるで別の車に仕立てられ、8000台の予定がなんやかやで20000台のオーダーを実現させたとか。プロモーションの域を超えた映画まで作られちゃったという、当然映画館で上映に至ったという、大掛かりな企画だったようです。

知らないですよ、当時のことは。89年からエスクードに乗っているんですから。

そのフィガロを最初に目にしたのは、実車でも映画でもなく、どういうわけかNHKが放送した「アインシュタインロマン」。かの天才科学者の生い立ちから相対性理論に展開する、ドキュメンタリーでした。フィガロはなんと、この理論の仮説媒体として、光の速度を超えたり時空の歪みを垣間見せたりしていました。

この放送がやはり91年4月から。フィガロの販売開始後わずか2か月のことでした。これは覚えていた。

今、国内でどれくらいの個体が現存するのか聞いたことはありませんが、イギリスじゃ3000台は現役だそうで、それらがまた国外販売されてもいなかったのに、そんなにたくさんの愛好家がいる。うーん、わからんでもないです。いま、あっちでだってこういう車は見当たらない。

イギリス産じゃないけど、巨大ロボット映画にまでエキストラ設置されるのは、定着した人気ならではだろうと感じます。

ところで、うちの霙さんがフィガロとの初遭遇をしたのは、彼女が中学生のときだそうで、ざっと10年前。下校途中の街角で見かけて「へー・・・・っ」と目を奪われたと言っています。彼女曰く「叩いたらブリキの音がしそうな古めかしさがすごくよかった」との印象。

そのときから、あの車に乗りたいと思い始めたようですが、なにしろ家庭環境がね、ばかの代名詞のようにエスクード好きな父親に、それは言えないですよねー。

そのような通りそうもない希望を抱きつつ、高校を卒業して大学生になり、運転免許を取るために入校した教習所の社員の一人が、よりにもよってベージュ色のフィガロで通勤していたらしく、教習所の駐車場にぽつんと置いてある個体に、たぶん彼女は天啓を受けたのだと思われます。

通販でミニカー買ってしまうくらいに、微熱は続いていたのですが、とーちゃんは見てみぬふりをしておりました。