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  ~懲りない傾向~

蛹から蝶に!←かなり迷惑な暗示

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思春期の初心な少年に妙な暗示をかけるもんじゃありません。ましてや日頃、蝶の観察なんかやってないだろう相手が、暗示に釣られて変な想像力を働かせるもんだから、稲妻と超高圧電気の力には何の関係も無い、しかもかなり危うい眉間の吸収管(どう見たって蝶の口)という変身を遂げてしまいます。これはもう彼の超能力を覚醒させた少年同盟の責任です。こうして1973年8月12日の少年サンデー誌上に、「イナズマン」の連載が始まります。

一人のおじさんがスプーンを曲げ、オカルトというか超能力ブームを作り上げてしまったこの年、「イナズマン」もまた超能力の有無で突然変異種と旧人類の存亡を賭けた超能力大戦に持って行こうとした漫画でした。今で言ったら、主人公風田サブロウは中二病を誘発させられ、そこから潜在能力である超能力を覚醒させるのですが、当時を思い返すと少年誌関係こぞって「君も超能力者になれる」といったいい加減な特集記事を書きなぐっていました。いつの時代も大人のやることは無責任です。

しかしこの姿。仮面ライダーや人造人間キカイダーに続く異形の造形。お世辞にもかっこいいとは言えない。そこを再考したのか、同年10月に始まるテレビ版では、眉間のデザインが一新されました。でも頭のてっぺんとか垂れ目気味の玉子眼球とかが、動かないけど生々しい口元との融合で感情移入しにくかった。何十年もあとになると、よせばいいのに漫画版に近づけてしまう始末。まったくもって、変な暗示に乗せられるものじゃありません。