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  ~懲りない傾向~

巨大ロボットはこれじゃいかんと毒づく話

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いわき市立美術館で開催されている企画展「日本の巨大ロボットの群像」を観てきました。さもありなんな話、来場者は大半が僕と同世代か少し上とみられる人たちです。巨大の原点が特撮版の鉄人28号で、アニメモノクロ版鉄人やマジンガーZで育ったみんな初老です。設定寸大の展示も多々ありますが立体物でなく、パネルイラストというのが各地を転戦できる知恵だなあと思わされました。それだって制作コストはかかっているわけですが、ダンバインくらい造形物でやっといてほしかった。

そんな愚痴を言うほど巨大ロボ番組とともに歩んできたのが、実は空恐ろしいことだったのだとあらためて実感したのは、それらのヒーローメカニックがほぼ、兵器であるという世界観に何のためらいも持たずにテレビにかじりつき映画館に出かけ、玩具や模型を買い求めてきた現実でした。

「ロケットパンチなんて現実に可能なテクノロジーであるわけがない」と、たいていの人々はその絵空事に興味を失い、まともな大人になっていったと想像しますが、鉄人28号が表現しているように、あんなもの作らせる需要と資金源を考えたら、軍事用でしかないのは当然の設定で、気の狂った(おいおい)科学者が気まぐれと戯れで作っちゃったケースはかなり稀。そういうものがあったとしても、巨大ロボの大半がそれぞれの世界観に用意された「敵と戦うマシン」なのです。

戦う兵器であるからには敵味方と巻き込まれる大衆に多大な犠牲が出る。怪我じゃすまないうえに下手すりゃ世界が滅びるところまで、兵器の殺傷力とそれについて回る因果の応報を、なぜああも繰り返し見ていてもろ手を挙げて来週を楽しみにしてきたのか。蹂躙されて黙っているかと、完璧に刷り込みをされていたのです。

空想科学の世界に戦争を持ち込んだ原作者もマーチャンダイジングして商売に結び付けた連中も、すべからく戦後の昭和の子供を陶酔させた意味ではすごい牽引力だと思うのですが、こんな世界、本当にバンドックが滅ぼしに現れても仕方ないよなあという思いを確認させられる企画展でした。まあ勝手に観に行って勝手に後味の悪い結論導いてる自分もどうなんだよという話です。