最近よく耳にし、目に触れるのが、初代モデルを1型、2代目モデルを2型、現行モデルを3型という呼び方をする人が増えていることで、この呼び方はいつからどこで使われ始めたのか興味を引いているのです。大雑把な歴代分類ならばそういう呼び方もあるかもしれませんが、初代モデルは7型まであり、現行の3代目でさえすでに6型を数えています。だから可能であれば、歴代ごとに1から3型という呼び方をされている人には、対話や問い合わせの中で誤認誤表記を生みかねないので、あらためていただけるとありがたいと思います。
さてどちらも2型の初代と3代目。コンバーチブルの方は一般的には「TA01Rの2型」あるいは「2型のコンバーチブル」と呼べば通ります。3代目の3ドアの方は「TA74Wで2型」もしくは単にグレード名の「XC」でわかります。しかしここにも不正確な呼称が慣例化してしまっていて、初代のコンバーチブルは正確には「E‐TA01R」3代目の3ドアは「CBA‐TA74W」と、なぜか頭の文字を略して呼び習わしているのです。略されている部分は排ガス規制に関する記号で、なぜ略されているのかというと・・・気がついたら略されていた説と、ついめんどくさがって略したという説と、ショッカーの戦闘員みたいでいやだという説などがあります。まあ大きな問題はないよねえとタカをくくっていたら、2代目エスクードの中期モデルで規制新基準をクリアしE‐がLA‐に代わってしまって、2代目ユーザーさんからの問い合わせを受けるときに混乱と迷惑をかけてしまった経緯もあります。
エスクード仲間のきうさんが、初代モデルを例にして、この型式の読み方について解説してくれています。この型式も2代目までは比較的単純でしたが、3代目においては54W、94W、74Wときて数字が使い切られ、3型からA4W、B4Wと複雑化しました。グランドエスクードに至っては2代目の派生型であるためか、車種コードがX(開発ナンバーのままなのか、苦肉の分類なのか)です。
この機種記号は解説にある通り、エンジンルームにIDないしコーションプレートとして必ず貼り付けられています。これを読み取ることで、それぞれのユーザーさんのエスクードが何世代目の何型かを識別できます。
写真のコンバーチブルの場合は、91年式の4ATモデル。型式に対してこれを補助する補助記号を読み取ります。すると、SCXR‐X2と記されています。この末尾の数字が、最初のマイナーチェンジを経た2型であることを示しています。補助記号の詳細はミッション形式や限定車、特別仕様によってもアルファベットが変わるので、今回は割愛します。ここでは末尾の数字に意味があります。
3代目の3ドアは、YHCJ‐2で、2型です。ただし、このモデルは3代目エスクードの中期に追加されたことから、初期型がすでに2型で、1型が存在しません。これはグランドエスクードにも言えることで、グランドエスクードも2型から始まり4型で終了しています。3代目の3ドアが希少なのは、3型に(たぶん)至らなかった単機モデルであるという点です。しかしこのモデルは海外では販売が続いているため、海外モデルの機種記号と補助記号がどうなっているかは、また別の研究課題となります。これに対して、初代の2000シリーズはV6、直4の2種類がありますが、これらはやはりそれぞれ追加でありながら1型から始まっています。
こんな塩梅で、ひとくちに初代、2代目といってもマイナーチェンジごとに型が更新されていて、初代を1型、と断定することは正確ではないのです。だからどうしたと言われればそれまでのことですが、代を重ねた自動車は、よく何代目〇〇と呼ばれていますので、エスクード仲間もこの呼びならわし方に準拠していました。単純に3代目を3型とは言わず、その世代での何型を所有しておられるかを知ることで、エスクードも小刻みに進化していることがわかっていただけると思います。