再び健さん映画ですが「海峡」より早く放送されたのが意外だった「海へ ~see you~」は、土木映画同様これまた数少ないパリ・ダカールラリーを素材にした邦画。88年1月が舞台なので、残念ながら逆立ちしてもエスクードは走っていませんが、2時間53分の上映中、かなりのラリー実景が観られるという、その意味では貴重な映像です。邦画で同類のものは、それより2年前のレースを素材にした「パリ・ダカールラリー栄光への15000km」くらいしかありません。
炎上するレンジローバーを背にして膝まづく健さん、というシーンは実際には無いのですが、この場面自体は映画の後半の重要なシークエンスで、犯罪・ギャング映画といえばこの人というジョゼ・ジョヴァンニが原案をまとめたというだけあって、フランス映画っぽい男と女の結末に結びつくのですが・・・ この映画はなにしろ原案を持ちながらこっちの超有名脚本家がシナリオを起こしているため、用もないのに出てくる健さんのキャラクターとしての掘り下げパートが映画を台無しにしちゃう、駄作扱いの票が多い作品。ラリーに興味がなかったら、3時間近く映画館にいられないとまでの言われようです。
しかしながら、ドスやら拳銃やら自動小銃を振り回す健さんではなく、はたまた年老いた駅員などでもなく、まだ現役の職人(カミオンドライバー兼メカニック)という健さんを見ることができるという意味でも、海峡の土木屋と並んで貴重なのであります。あ、88年ですから、あの篠塚健次郎さんもちらっと出てくるんだけど、もう若いのなんの。