ゆうきまさみさんの漫画家生活は35年めになり、究極超人あ~るだと連載開始から30年めにあたりますから、ざっくり乱暴に言ったら40代以前までの人たちは、連載当時にはこれを読んだことが無いかもしれません。もっとも氏の代表作のひとつですし、漫画だけでなくドラマCDやOVAなどメディアミックス展開し多くの記録を残していますから、うちの娘らのように90年代半ばに生まれていても知っている若年層は多いと思われます。
なんでそれがスピリッツに掲載されるのだ?と思ったら、同誌も35周年だと。
ふーん、というわけでゆうきさんは当分、少年誌には描かないんだなあと時の流れを感じるのですが、前編が「週刊」で後篇を「月刊」に載せるという商魂は、作者側の良心として阻止していただきたかった感があります。
それはそれとして、まるで「美味しんぼ」の単行本表紙みたいな装丁の扉絵は、ある種パロディマンガ家の真骨頂か。とか言おうとしたら、前編はご飯の炊き方・・・いや炊いたご飯の「加工調理」の極め方で、遠大な究極の献立をやらかしているところからして、オリジナルでありながらパロっているのがわかります。
今回、どんな展開にするのか興味を引いていたらば、堂々と「最終話」のちょっとあとくらいで始めちゃうのが「マンガって羨ましいなあ」と時空の自由度を痛感させられる設定。こっちは30年齢くっちゃってますから。
しかし恐ろしい伏線もはらんでいるような気がしてなりません。まあ「あ~るだから」で済ませられる笑かしですけど、30年前の連載の終幕は、一時的にR田中一郎が行方不明になっていまして、今回初めて、彼が何処をさまよっていたのかが明らかにされました。
そこから察するに、行方不明になる際の、成原大要塞崩壊時に、時空を転移してしまう『ピンホール振動』が発生していた節があり、そんなものが成原成行博士のマッドサイエンステクノロジーに掌握されているとしたら、成原家か、そこに嫁いできたキヨエさんの血筋には、外宇宙文明であるアルタ人の、1000年前の地球漂着が関わっているかもしれない。
現に、R田中一郎のモデルとなった成原あきら君に酷似したアルタ文明の帝国近衛師団員ダール氏という存在もありますし、彼らには『人形』というアンドロイド技術が確立されていました。成原博士の「本人でも理論を説明できない」超破天荒な発明も、アルタ文明のテクノロジーを好き勝手にいじった結果とすれば、「おぉ」と膝を打てるような気がします。
何が恐ろしいかって、アルタ文明だとか連邦だとか帝国だとかの「鉄腕バーディー」の世界は、その超空間転移やそれを引き起こすための膨大なエネルギー転換をもたらすピンホールエンジンの実証実験が『人類の手で行われて失敗し、時空の歪みと並行宇宙の出現』によって成立するものらしいからです(バーディーちゃんと読み返さないと説明しにくい)
その実験が行われるのは、人類時間で言うところの2040年。多説ある中で、その際「我々の住む世界は地球ごと消滅している」ということで、ひょっとしたらピンホール技術を確立してしまったのが成原博士で、これがいち練馬の個人研究所から国家レベルの事業に取り上げられてしまう歴史が、これからの四半世紀に起こってしまうと、世の中えらいことになってしまうのです。
いやもう「馬子ゆるキャラ」なんて言ってる場合じゃないよ。てか、今回それがR田中一郎の大技だったんですが、それに言及できずに長文化しちゃったのでぶん投げることとします。