今の事務所に居場所を構えてもうじき5年が終わろうとしているとき、ふとビルの裏側の通用口兼車寄せを歩いていて、妙なものを見つけました。
コンクリートの上に点々とする黒いシミ。その不規則ながらある種の規則性を持った間隔と大きさと、かたち。
どこからどう見ても、猫の足跡です。
なんだこれ? と、最初はペイントか何かかと思って屈みこんで触ってみると、コンクリート床の表面とは異なるざらっとした感触。
凹んでおります。
右に走っているのは、東日本大震災のときに生じたクラック。だからこの4年と9か月、このコンクリート床は打ち直していない。
ということは、この足跡は20年前にこのビルが建った時点で、すでに付けられていたということでしょう。
なぜ今まで誰も気がつかなかった? 入居者の誰に聞いても知っている人がいなかったのです。たぶん完成から何年かは、コンクリート表層に艶出しなどを兼ねたコーティング剤が塗られていて、足跡自体が埋められていたのかもしれません。
表層のコーティングが最近になって剥離して、20年間隠されていた猫の悪戯が浮かび上がってきたもののようです。
・・・よくこんなんで完成検査通ったもんだよ。といってねー、これでコンクリート打ち直しやれって言われたら、現場代理人、泣くしかなかっただろうしねえ。
こういう足跡、街には意外とあちこちにあるのかもしれません。
昔、とある新築のアパートを訪ねたら、入り口から階段に向かうコンクリートの床に、くっきりとにゃんこの足跡が付いていたことがありました。どうせなら着色した方がシャレてていいのに、と無責任に思いました。(笑
こういうのがなぜか微笑ましく受けちゃうところなんですよねえ。
筑波山周辺の未舗装県道に設置された「この先通行不能」の標識の基部にも、
ちゃっかり犬か何かの足跡が付いてます。