午前中は暖かだったものの、昼過ぎからしぐれそうな雲行きと肌寒い風が吹いてきたので、コーヒーでも飲んで暖をとろうと、駅前に出ていた喫茶店の看板を思い出し、移動するとこんな品書きが。
・・・おい、要するにどうちがうんだこれ
(どうもそれぞれ異なるラテアートになっているらしい)
ジョッキパフェというのは、たぶん我々みたいなおっさんには手に負えない体に悪いやつなんだろうなあ(あとで写真を見て、手を出してはならんと確信)。しかしそのわりには鍋焼きうどんだけそのまんま直球勝負しています。この肌寒さなら鍋焼きかなと店内に入ろうとした
そのとき!
なんとも怪しい河童が現れ店じまいを始めるではありませんか!
しまった! こっちの動きに感づかれたぞと駆け寄ると、向こうは僕のことなんか覚えちゃいないでしょうけど、ずーっと昔、駅前通りのとあるビルの二階で喫茶店を開いていたあの人によく似ているではありませんか。実に三十年前、何度かコーヒーを飲み、軽食を食いに入った店でしたが、現在はその建物には店の看板がなくなっていました。
つい捕獲のことを忘れて昔の店のことを尋ねたら、河童おやじの方も意表を突かれたのか素に戻って「いまこっちでやってるんですよー」と普通の日本語で対話できてしまいました。
が、河童おやじはすぐに我に返り、午後三時で閉店の旨を告げするっと消えてしまったのです。追いかけて店に飛び込んだものの店内はもぬけの殻。むむっ、速い! そういえば緑でなくピンクの体をしていたし・・・
柳田國男さんが遠野物語に様々な怪異をまとめた遠野にはいまでも、得体の知れない物の怪がいるのかもしれませんが、いやいやいや・・・これってそういうのじゃないだろー、こんなんでいいのか遠野の怪異!
と、あっけにとられはしたのですが、久々に立ち寄った遠野は期待を裏切りません。