彼らの世界においては、兄・南波六太はことしどこかの自動車メーカー関連デザイン会社に就職したばかり。日本人初の月面到着者となる予定の弟・日々人もまだ大学生です。でもあと10年か15年の後には、現実の世界の日本人宇宙飛行士が、南波兄弟と同学年で宇宙にいることは間違いないでしょう。
気象庁が本日に打ち上げを引き延ばしていたひまわり9号を宇宙へ持って行くH2A31号機の外壁に「宇宙兄弟のモザイクアート」が掲げられるのは、そういった世代が抱く宇宙への夢と希望を代行して表現するものです。
しかしひまわり9号は打ち上げ後すぐに運用されるわけではなく、一昨年打ち上げられた8号が役目を終える2022年までバックアップ待機し、その後2029年初めまで観測に使われるという気の長い計画。日々人は2025年に宇宙へ送り出され、六太は28年時点では宇宙飛行士に選抜されているものの地上管制にあたっているので、六太が月に降り立つ時代にはひまわり10号が運用されていることになります。
その前に、アメリカが再び有人宇宙計画を自前で打ち出すようになっていく必要があるし、日本のロケットももっと宇宙事業に活用されていなくてはなりません。夢と希望の10年を背負っている現在の宇宙開発には、なかなか大きく重い使命があるのね、という感想を抱いています。