仲介だとか橋渡し、という語意を持つフランス語。昨日ふれたパリ・ダカールラリーなど、ラリーレイドの世界で、競技区間であるスペシャルステージ間の移動において、その行動を示す言葉としてよく使われていますが、日本においてこの言葉が頻繁に登場してきたのは、中越地震、中越沖地震や、東日本大震災、局地的豪雨による土砂災害が発生した際の地元行政機関と国土交通省とのやりとりでした。
同省の担当専門家や民間企業の専任技術者などが、被災地や災害現場に斥候派遣される時の呼称に用いられています。
東日本大震災直後は、東北のあちこちで、リエゾン派遣された人々と出会いましたが、地域においては馴染みのない言葉だっただけに、リエゾンなのかエリゾンなのかはたまたエゾリンなのか、認識できないところもあったようです。
東北ではリエゾン以外にも道路啓開、櫛の歯作戦、テックフォースなど、様々な言葉が飛び交っていました。最近では復興元年、復興道路、即年着工だとかの、記憶の風化と戦うキーワードが次々と生み出されています。どんな状況下でも、行動の前に情報が走るためです。これは、「口で言ってる暇があったら動けよ」という小言を呼び込みかねないとも思いますが、何の伝達もなければ行動にも繋がらないとも言えるのです。
日を追うごとの復興の形が目に見えてくるはずはありません。むしろ2年めにして、何が変わったのかといえば、ほとんど変わっていないのが、実状。あと2年経っても、それほどの変化は感じられないかもしれません。そんなに簡単には復興なんか進まないのです。それでも、がんばろう東北という言葉の意味に風化が起こることはないし、そうでなくてはならない。
あの頃からずっと、言葉は意志を伝えるリエゾンであり続けていると考えています。