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  ~懲りない傾向~

甘く危険な香り

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rossini昔、スズキ本社の広報マンに、海外で作られたリミテッドエディションはどれだけあったのかを質問したところ、

「各国で沢山出ていて把握しきれない」

と答えられたことがあります。たぶん把握しきれなかったのは本当のところだと思いますが、めんどくさがられた感も強かった気がします。だからそのとき、エルトン・ジョンリミテッドが何台生産されてのかを聞いても、わからずじまい。そんなんでしたから、海外の限定モデルや特別仕様という話題はあまり知る機会もありませんでした。

「Rossini」リミテッドエディションは、どうやらこちらで言うところのコンバーチブルのみに存在したモデルのようですが、何時からいつまで生産されていたかは不明です。しかしまた、なんだってカクテルの名前がクルマに与えられるのかという企画意図が謎です。ヨーロッパと我々との文化の違いを見せつけられたようでもありますが、だって国内で「エスクード大吟醸」なんてやろうとしたら大顰蹙を買うでしょう。

ロッシーニというのは、イタリア産の発泡ワインと苺の果汁を組み合わせて、1960年代に生まれたクラシックカクテルのこと。「ウィリアムテル」で知られるオペラ作曲家のジョキアーノ・ロッシーニを冠したところが、イタリアのカクテルという出自を物語っています。それまでのサムライ・ジムニーよりもポップでカジュアルなエスクードは、ヨーロッパにおいて、イタリアのイメージを与えやすい四駆であったのでしょう。だからこの思いっきりピンクな車体色が、カクテルのロッシーニを彷彿とさせます。後に登場するエルトン・ジョンリミテッドはJ20Aを搭載した2リッターモデルのコンバーチブルで、こちらはドイツ版という異なり方と比べても、なんとなくお国柄がラップしてユニークです。

でもロッシーニは18歳でデビューし37歳で作曲をぶん投げるまでに39作品を遺したそうですが、ヒットメーカーというよりは一発屋っぽい印象があって、その後の食道楽の方が著名なところもあります。エスクードの本質までもがそうかどうかは僕には評価できませんが、カクテルの名前すら通り越して、そんな部分もロッシーニに因まれていたんでしょうかねえ。