2015年シーズンに向けてのストーブリーグに入りました。来季の大きな変化は、TDAの開催が年間4戦に拡充されることの決定です。これによって、あっというまに年間優勝にリーチがかかることへの抑止力が働き、それは同時に誰にでも勝ちに行けるチャンスが生み出される展開へとつながります。主催側はバックヤードでの運営に負担増を免れませんが、大会の充実以上に参加者への舞台を提供するというスタンスが素晴らしいです。
なにしろウエストウインの独り勝ちが続いたら、TDAなんかいつか面白くなくなっちゃうじゃないですか。風は打倒ウエストウイン、潰せエスクードなのです。
しかしですよ、うちでそんなこと言おうものなら袋叩きは必至(いや・・・もう書いちゃってるけど)。今季の戦績をもとに、2台のエスクードの来季向けモデファイも開始されます。全戦優勝を遂げた川添哲郎選手のTA52Wは、インナーロールケージの組み付けを行い、車体剛性を向上させます。懸念材料は、このことによって車の挙動がどのように変化するかで、重量増加も併せてドライバーの意に沿った仕上がりができるかどうかです。
「実は川添くんは、車がふわふわすると言い続けているんです。それを土台にあれだけのコントロールをしているのだから大したものです。ロールバーが入ったところで挙動を制御するテクニックには影響はないと思うのですが、上がった剛性が足回りに負荷をかけることも予想しておかなくてはならない」
島雄司監督は、現状でもレベルの高いマッチングを果たしている川添・52Wの人車バランスが変化することに気を病んでいます。しかし保安部品を装備することは大会規定であり、これが間に合わなかった今季の戦績は、100%もろ手を上げて喜べないということなのです。
一方、後藤誠司選手は、最終戦が欠場によって不戦敗という不本意な幕引きとなり、シーズン終了後密かにコーストレーニングを行っていました。これを観ていたフォーズファクトリーの森川金也さんとハンガーの高田浩三さん曰く
「後藤ってスタートへたくそなんだ」
という評価が下され、満を持して組み込まれたはずのツイン・リアショックが活かされていないことを指摘したそうです。ここから川添選手のグリップに徹した走りと比較検討がなされ、走らせ方を変えるかどうかにまで議論は及んだようです。ESCLEVではツインショックには反対しており、硬さとしなやかさの違いはいくつかのサンプルを試させないと、ドライバーも納得しないだろうと今シーズンの戦いを静観していました。
「結論から言うと、後藤くんがドリフト主体のスタイルを変えることはしないでしょう。実際、ツボにはまったときの彼の車は誰よりもノーズの突っ込みが速い。コーナーからの脱出速度も他車を寄せ付けません。しかしそのリズムが速さによって2個先、3個先のコーナーまで持たない。そこが課題です」
島監督との協議では、ひとまずツインショックを外して後藤選手好みの硬さと、彼レベルである程度のしなやかさを有する銘柄に変更しようという案が進みます。エンジンに関しては、世間では設計が古いのなんのと言われているJ20Aですが、このブロックの素性は頑丈かつバランスが良いので、ヘッド周りの整備を施すとのこと。
打倒エスクード、ウエストウインを表彰台から引きずりおろせ、という数多のチームの視線は、誰よりもウエストウインの面々が知っています。ただではトップを譲らないし、破竹の勢いのチャンピオンを止めに行くのは自分だと、川添選手も後藤選手もスキルを落としていません。2015年は波乱のシーズンとなりそうです。
ところで島監督、このところメールが全て跳ね返されてしまうんですけど、どうしたもんでしょう?